プロローグ

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プロローグ

夏の暑い日差しのなか 弱々しい羽を ひらひらさせながら 水辺を小さな虫が飛んでいた キラキラと 照り返す水面に 小さな足で蹴りあげるように まるで 存在意義を示すように くるくると 舞っている 普段なら 気にも止めない光景が 脳裏に焼き付いて 家に帰ってから その虫の名前を調べた 「蜻蛉(かげろう)」 水辺に飛ぶのは 成虫で 産卵を終えると 数時間後に死ぬんだと あぁ まるで あたしみたい
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