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プロローグ
夏の暑い日差しのなか
弱々しい羽を
ひらひらさせながら
水辺を小さな虫が飛んでいた
キラキラと
照り返す水面に
小さな足で蹴りあげるように
まるで
存在意義を示すように
くるくると
舞っている
普段なら
気にも止めない光景が
脳裏に焼き付いて
家に帰ってから
その虫の名前を調べた
「蜻蛉」
水辺に飛ぶのは
成虫で
産卵を終えると
数時間後に死ぬんだと
あぁ
まるで
あたしみたい
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