篠宮かおる 38歳

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家のあちこちの場所で 色んな妄想の中で 喘ぐようになった 2階のベランダで 洗濯物を干しながら 外からは見えない下半身は なにも着けず 見られるかもしれない興奮で 指が動いてく 通りから近所のひとが挨拶すると かすれ気味な声で返事をする 「どうしたの?大丈夫?」 「大丈夫、ありがとう…」 言葉とはうらはらに 動く手は止まらない 波が来るように 快楽に溺れ始めると どう受け答えしてるのかも わからなくなる 「またね」 見届けた瞬間 膝から崩れ そのまま仰向けになり足をひろげ 身体を痙攣させながら 動き続けた 小さな波がやがて大きくなる頃 息が止まるように苦しくなる だんだんと切なくなり 身体全体に電流が流れるように 痙攣しながらこわばせる 「イク」というものを初めて感じた 恍惚とした顔していたと思う しばらく動けなかった 勿体ない ずっとこんな気持ちいいこと 知らないで生きてたんだ 洗濯物のすきまから 日が差して 眩しく目を細める あぁ もう戻れないかもしれない *おわり*
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