二人と一匹の逢瀬

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二人と一匹の逢瀬

「この、ボトルテラリウムなんてどうかな? 底の黄色いお花、夜だけ咲く珍しい種類なんだって。しかも光るみたいっ。灯りを消したお部屋にほんのり光るお花……お星様みたいでロマンチックじゃないかな?」 「この花だったら家の庭の噴水にも咲いてる」 「ペアのアロマネックレスは? 真ん中に特殊なストーンが入ってて、垂らすアロマの種類によって全然違う色に変わるみたい。香水の代わりにもなるし、宝石みたいでとっても綺麗だよっ」 「兄様は香りの好みが相当偏ってて、自然な薔薇の匂いしか好まない」 「ふかふかな安眠枕とか。『吸収してくれるような柔らかい素材が幸せな夢に導いてくれる、お偉方も御用達の一品』……って書いてあるよ?」 「使わないと思う。あの人の寝具は全部オーダーメイドだから」 「あれどーですか!? 生チョコ白玉のケーキー!!」 「だめ。そんなの買ったら一分も経たない内にロイズの胃袋に消えちゃうでしょ」  花。アロマ。雑貨。スイーツ。様々な店を巡り品定めするものの、どれも買うには決め手に欠けるものばかりで、贈り物探しは難航した。  何十件目かの店から出て、リラは右肩に預けていたショルダーバッグを反対の肩に掛け直す。 「なかなか見つからないね。お兄様に使ってもらえそうなもの」 「ごめんなさい。こんなに連れ回して……もし疲れていたら教えて」  影が増えてきた道で気を遣うエミリオに、リラは「平気」と首を横に振る。 「私一人だと、こんなにお店を回ることなかったもん。見たことないものいっぱいあって、すごく楽しいの。色んなところに連れてってくれてありがとう」 「こんなことでお礼なんて……変なの」 「変じゃないもん。ね? ロイズ君」 「ふぇ?」  リラのフードの上に移動していたロイズは、人気のスイーツショップで買ってもらったチョコ白玉を頬張っていた。エミリオの肩で食べないのは、万が一にも、(あるじ)の服を汚さないため。
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