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「えっ……な、何……」
「きゃあっ! エミリオ様のお肌、とっーてもふにふにで、お団子よりやわらかいですっ。きもちーですっ」
恥ずかしそうに戸惑う主をよそに、ロイズはやわやわした頬の感触を楽しむ。無礼だとわかっていても、真っ白な肌の弾力は、ずっと触れていたいと願わせるほどの魔力があった。
竜の浮かれた様子に満足そうに頷くと、リラは悪戯が好きな子どもみたいに、首を斜めにしてエミリオを見上げた。
「私が触ると犯罪になっちゃいそうだから、ロイズ君に執行してもらいました。ほっぺぷにぷにの刑」
「何それ……どういうこと」
「だって……一人で暗い顔するんだもん。ロイズ君も、私も……も、物好き、なのに」
どもるリラは、一旦ロイズを盾に顔を隠す。
五秒も経たずして、気弱なローズピンクがエミリオを見上げた。
「……エミリオ君は……楽しく、ない……?」
「……そんなこと、ない」
リラからの視線を繋ぎ返せずに、エミリオはそっと従者の肉球をつまむ。
それが精一杯の答えなのだ。自分の気持ちを伝えることに慣れていない主の、最大限の感情表現。手のひらから伝わる、何を置いても愛おしい温度を、ロイズは嬉々として受け止める。
「きゃははっ、エミリオ様! くすぐったいですよぅっ!」
「さっきの刑の仕返し。僕もくすぐったかったんだから」
落ち着きを取り戻した主は容赦なく、従者の敏感な場所を何度もつまむ。滑らかな指に復讐されるたび、ロイズは笑い声を立てた。
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