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手の代わりにロイズが尻尾を振ると、群れの内の一羽が、ふにふにした手の内側へ――リラの肩に止まった。つぶらな黒い瞳をリラに向け、ぴよぴよと、懸命に声をぶつける。
「この子、リラが“おまじない”をしてあげた子じゃないかな。お礼を言っているのかも」
「そうなのかな……? ふふ。よかった。すっかり元気になったみたいで」
微笑んだリラが小鳥の羽をちょんちょんつつくと、小鳥は己の小さな頭をリラの頬に数回擦りあてて、元気よく仲間の元へ羽ばたいていった。全員が揃ってから、ライムイエローの群れは旅を再開させる。
「あの子、リラのこと気に入ったみたい。そーいえば、あの子にどんな“おまじない”してあげたの? 船の上でやってた魔法とおんなじの?」
「うん……おんなじの」
ロイズの口から何気なく転がった疑問に、リラは弱く萎めた声で答える。ローズピンクの瞳は何も見なくなった。
「混血って、本当なら混ざり合わない遺伝子同士が組み合わさって生まれてくるものでしょ? だから細胞に異常が起こりやすいんだって。その中でも、何億かに一の確立で、生まれてくるみたい。私みたいな……人間の形をしてても血が赤くない人」
麗らかな空気が、水の匂いに染まっていく。
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