22人が本棚に入れています
本棚に追加
「ジュエリーボックスも実用性がありそうだけど、夫婦で眺めて楽しめるものの方がいいのかなぁ……こっちにメッセージ入りのものもあるみたい」
「メッセージは欲しがらないと思う……あ。ベッドサイドランプが付いてるものも置いてある。こういうものなら兄様にも使ってもらえるかも」
「そうなんだね。好みに合う音楽はどんな……」
エミリオの隣で真剣な顔で商品を見回すリラは、ふとある一点を見つめた。
小物ばかりが並んだ一角。花を象った、クリスタルの髪飾りが並んでいる。
「これ可愛いでしょ? バレッタの形になってるんだけどね、これもオルゴールなのよ」
近くへ来た店員が白い花を裏返すと、花びらの後ろからは小さなゼンマイが芽を出していた。店員の指がそれを回すと、クリアな花が愛らしいメロディを放つ。「すごく可愛いっ!」とリラは一瞬で釘付けになった。
「贈り物としても、普段使いとしても、とても人気のある商品なの。お嬢ちゃんもよかったらいかが?」
「すごく可愛いけど……結婚のお祝いには物足りないかも……」
歌う髪飾りから、名残惜しげに視線を外していくリラ。インテリア向きのオルゴールが並ぶ棚の前へ戻り、再び真剣な顔付きでエミリオへの提案を重ねる。
その間、主が何度か小物の並ぶ棚に目を向けていたのを、ロイズは見逃さなかった。
最初のコメントを投稿しよう!