砂糖菓子の音色

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 商品を吟味した末にエミリオが選んだのは、ナイトランプの性能を持ち合わせた、ガラスの中に薔薇が一つだけ咲くシンプルなオルゴールだった。  エミリオが会計カウンターの前に立っている間、ロイズは「ねー、見て見て!」と外に面したクリアガラスの前にリラを誘う。  快晴のお陰で街の風景がよく見渡せた。建物が立ち並ぶ中、特に目立つのは、ニョキッと突き出した背の高い建物。十字架の下で三角形の屋根を被った建造物。 「あそこのね、ながーい建物があるでしょ? おっきな鐘がついてるの!」 「おっきな……あの鐘楼のこと?」 「そー! あのね、ちょーどあの鐘が鳴ったタイミングで鐘の下に辿り着けたらね、すーっごく幸せになれるんだって! だからあとで三人で行こっ」 「そうなんだ。でも……ロイズ君達は時間大丈夫なの? 贈り物も決まったし、早く帰ってお祝いしたいんじゃ……」  リラが振り返る素振りを見せたため、慌ててロイズはリラの顔と距離を詰める。ローズピンクの瞳いっぱいに、自分だけが映るように。 「……ロイズ君? ものすごーく近いんだけど……」 「えー? そーおー? お話する時って、これくらいお顔近くなかったー?」 「近くなかった。だめだよ。ロイズ君がこれくらい顔を近付けるのは、エミリオ君だけにしなくちゃ」  こつん。リラがロイズと額をくっつける。
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