イジワルな腕

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横たわっていた体がぐいっと掴まれて垂直に上昇していく。 ある程度まで上昇すると今度は平行に移動する。 楽しげな音楽をバックに皆の嬉しそうな声と拍手が聞こえてくる。 「よかったな!」 「おめでとう!」 「お幸せに!」 俺は『ありがとう!皆元気でな!』と言いながら手を振る。いや、実際体は全く動かないんだけれど。 透明な板の向こう側。下方にはわくわくと期待に満ち溢れている瞳、上方にはハンターのようにギラギラとした瞳、その隣にはすっかり呆れ返って冷めた瞳。 期待なんて全くしていなかったけれど、今日、俺にお迎えが来たのだ。
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