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5回のプレイが終わり、最後の一回。両親もぬいぐるみ達も諦めモードだった。諦めていないのは美月ちゃんだけだ。
父親がアームを移動させ、マシンの側面から位置を確認し微調整をする。そして『これで終わりだ。』という表情でクレーンを下ろすボタンを押した。彼に出来るのはここまでだった。
え?
予想を裏切って俺はアームに持ち上げられた。がっちりと掴まれている。
「やったぁ!」
美月ちゃんが満面の笑みになる。父親と母親は驚いた表情で穴に向かって運ばれる俺を見つめていた。ぬいぐるみ達から祝福の言葉をかけられる。
ああ、俺はあの子の元に行けるんだ。あの腕に抱かれてホテルの部屋に帰って布団で一緒に寝て、車だか電車だかで家に帰って、そこでも一緒に寝たり遊んだり、出掛けたりできるんだ・・・。
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