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「ぼてっ!」
無情にも穴のすぐ手前で俺は仲間達の上に無様に落ちた。
う、そだろ・・・。
「う、わあああぁぁぁん!」
一瞬の静寂を破って美月ちゃんが泣き叫び始めた。
「み、美月、アイス買って食べようよ。もうすぐアニメも始まるよ。」
母親が必死でなだめるが彼女には聞こえないようだ。その隣で父親はがっくりと項垂れながら『アーム、弱く設定し過ぎだろ・・・絶対とれたと思ったのに・・・。』と力なくつぷやいた。
遠ざかっていく彼らの後ろ姿を見ながら、俺も泣いた。涙は出ないけれど心の中で号泣していた。定位置に戻ったアームを見上げ、子供があんなに欲しがってくれているのに、どうして期待させて突き落とすようなイジワルするんだよ、と訴えてみるが、沈黙したまま、返事はなかった。
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