学園祭

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学祭だから 一般の人も来ているし 普段の校内とは違って男の人も多いんだけど 柊さんは高身長でこのルックス とても目立ってしまう ちょっといたたまれない でも 柊さんはとっても楽しそうだ 「ミウちゃんは普通の恰好だけど 何やるの?」 「私 ホラ入り口にあったフリーマーケットです」 「へぇ」ニコニコと私を見る なんか不思議 今まで好きになって付き合ってもらった人は 「会話途切れないように」 とか 「どこ案内しよう」 とか一生懸命考えてた まぁそれも楽しかった 好きな人と一緒なら何でも楽しかったし でも 柊さんとは話し途切れても平気だし ただ歩いてみてるだけでも 苦痛じゃないし 気にならない 失礼だけど 気を遣ってないのかも(笑) 「ミウちゃん喉乾かない?」ちょうどかき氷のブースの前で柊さんが立ち止まる そういえばちょっと喉乾いたかも 「かき氷でもいい?」 そういって柊さんはブースの前に進んでいく 「いらっしゃいませ」店員やってる子がスマイルをくれる 「なにがいい?」ごくごく自然におごられそうになる 「い いいですよ 私の分は自分で…」 そう言いかけた私の口に人差し指を当てる えぇ!ドラマですか?何このシュチュエーション 「おごらせてくれないなら 2人で一個食べることになるよ」 そしてさわやかに脅される 柊さん笑顔 怖いです… 「じゃじゃあメロンで…」 「了解 じゃ おねぇさんメロンと コーラ一個ずつね」 おそらく柊さんの見た目やしぐさに見とれてたであろう店員さんたちは 慌てて かき氷の準備をする 柊さんみたいな人に惚れない女はたぶんほぼいないだろうな でもなんだろう 今までと違う感情というか こう 『ぐぐっ』って引き付けられるような 情熱的に突き進むような気持にいならない それなのに なんだか柊さんと一緒にいるのは心地いい 「はいミウちゃん」 気づいたらメロンのかき氷が目の前に差し出されている 「あ ありがとうございます」 「あそこのベンチで食べよっか?」 そういってすぐ目の前のベンチに腰を下ろす柊さん 私も少し距離を開けて座ると 遠慮なくくっつきそうな距離に詰めてくる 「ミウちゃんこういうの恥ずかしい?」 とか聞くなら この距離感どうにかしてほしい 「ていうかさ 俺聞き忘れてたけど」 そういって氷を口に入れて冷たい!という顔をする そのあと 「ミウちゃんて彼氏いないよね?」と聞いてきた 「…!コホッ!」突然の質問に私も口に入れてた氷にむせてしまう 今更ですか? 「大丈夫?」そう言ってすぐにハンカチが手渡される 「ごめんなさい ありがとうございます」といってそれを受け取る 「え?もしかして彼氏いる?」 不安そうに私を覗き込む柊さんに 「いません いないです」と二回否定してしまう 「そっか よかった」 私 やっぱり柊さんに好意を持たれてる?はっきり言われたわけじゃないし まだ付き合い浅いし 確信なんて全然もてないけど 淡い期待をしてしまう 『新しい恋の予感』? 「柊さんはいないんですか?彼女?」もてそうだもんねガールフレンドの一人や二人いても不思議じゃない 今ならまだそんなふうに思える 私のことも 何となく気まぐれに構ってるだけかも 「いないよ」 そんな私のガードをことごとく破っていく 「俺さ ミウちゃんに一目ぼれしたんだけど」 ん?今なんと? 「ミウちゃんのこと彼女にしたいんだけど」 私心の声もれてたかな? 同じことを確認するように言われる 「いやいやいや まだ何にも知らないし」きっとふみがいたら 『お前がそれ言うか?』と突っ込まれてしまう 一目ぼれは私の専売特許だ 「だから 知りたい」氷が解けそうなほど熱い視線で なのにすごく柔らかく 脳や 心臓に直接響くような声でそう言われる 気まぐれならほんと勘弁してほしい そりゃ今まで "恋する"ことにはまっしぐらだったけど そんなに軽い女じゃない!と思う… そんなことを考えながら 見上げた柊さんの瞳に一瞬ゾクッとするほどの色気が宿っているのに気が付く 「わ 私からかわれてます?」 なんだか疑ってしまう 生まれて初めて人から告白された それもこんないい男から これはフィルターじゃない 誰がどう見てもだ 「いや まじに真面目に言ってるんだけど ミウちゃんは知りたくない? 俺のこと」 し 知りたい でも深入りして大丈夫?とか妙に理性的な思考も残っている 「俺はどうしても ミウちゃんを知りたい」 「そんなふうに その 迫られたの 初めてです」 っていうか 「告白されたの始めてです…」声がだんだん小さくなってしまう 「え?俺が初カレ」と言いかけて 「そんなわけ ないよね?…」柊さんも少し戸惑ってるみたい 「いえ あのごめんなさい 付き合ってた人はいます」 こちらもしどろもどろになってしまう 
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