彼氏の誕生日

1/5

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

彼氏の誕生日

柊さんの誕生日プレゼントをあれこれ考えてる時間は なんだか幸せな時間 「お なんか乙女の顔してるねぇ」麻莉に声をかけられる 「なんかおっさんみたいな言い方だなぁ」 「ひどいなぁ まだ10代ですけどぉ」 「それはそうと みう なんか上の空って感じだったねぇ 地域清掃真面目にやってよ」ふみに怒られる 今日はボランティアで地域清掃のお手伝いをしている もう寒い時期なのに 商店街のごみ拾いで歩いてると少し汗ばむようだ 「ハシマさんのことでも考えてたの?」二人ににやにやしながら聞かれる 「もう 違うよ! はいはい 掃除掃除」 「なんだよさっきまでさぼってたくせに!」 「ねぇ これ終わったらお風呂行かない?」 「いいねぇ」ふみの提案に私と麻莉はすぐに乗っかる 「久しぶりだよ銭湯」 「じゃ ちゃっちゃと頑張ろう!」 自分たちで作った自分たちのご褒美のために 作業はぐんぐんはかどった 労働の後のお風呂は最高!と言いながら私たち三人は近くの銭湯にやってきた ふみに続いて浴場に入ろうとして ふみの肩口に小さなあざを見つける ん?これってもしかして? 「ねぇ ふみこれって…」思わずその近くに触れる 「あ 忘れてた…」ふみは小さく言うと少し赤くなる マジかぁ きっと私に遠慮して言わないでいてくれてたんだろうけど 「さっさと風呂入って 帰って たっぷり話を聞こうじゃないか」 麻莉の一声に私も力強くうなづいた 「で? いつよ?」 部屋に帰ると ミネラルウォーターのキャップを開けながら麻莉がふみに詰め寄る 「この前ね たまたまご飯に行ったんだけど…」 うんうん と 2人で相槌を入れる 「すごく素敵なレスランで『すてきなところだね』って言ったら 『ここお泊りもできるよ』って言われてしまって」 おぉ と盛り上がる 「『部屋の景色もきれいなんだよ』って言われてさ なんだいつも使ってるのか とかちょっとショック受けたんだよね」あぁそれはショックかも 「そしたらさ『いつもは1人でとまってるから味気ないけど ふみちゃんと見られたら最高だろうな』って言われてさ」 「ホストかよっ!」麻莉が笑いながら突っ込みを入れる 「でしょ? でもさぁ やっぱ雰囲気にのまれるってあるんだよね」 「わかるぅー言われてみたいもんね」 「『一緒にいるだけで満足』って言ってくれたんだけど なんかいい雰囲気になってしまって…」 「まさか ふみから?!」私たち二人は驚きの声を上げてしまう 「なんか キスしたらとまんなくって…」聞いてるこっちが恥ずかしいです 「それからなんか変わった?」麻莉が興味津々に聞いてくる 「したのはまだそれ一回だけなんだけど なんか大事にはされてるかな?」 「そっかぁ なんか蓮見さんてホストみたいでうさんくさ!っておもったけど  大事にされてるならよかった」 「でも なんていうか 若干の束縛の強さは予想外というか… 」 「それでそのキスマかぁ」 確かに蓮見さんを感じさせるから ふみのこと束縛するなんて 見えないよね 「でもまぁ 何か制限されるわけでもないし 監視されるようなことなし 電話もLineも程よいしね」 「こうやって女子会できるなら 私は蓮見さんとふみのこと応援できるよ」 麻莉が笑ってそういうから 私も同意してうなづく 「でも そうすると処女は私だけかぁ」 そういった私を見て麻莉とふみが 「そんなのタイミングだし みうが『この人!』とか『今!』って思った時でいいんじゃない?」 「周りに合わせて無理にすることないし 私だって蓮見さんと会うまでそういうのなかったし」 と言ってくれる 「それに みうの心の準備ができないのにそればっか求めるなら そんな人はやめたほうがいい」 元カレを知ってる二人は そこをしっかりわかってくれてる でも実際 『やったら冷たくされる』のも嫌だし 『やらないで嫌われる』のも怖い 「実はさ もうすぐ柊さん誕生日なんだよね」 私の言葉に二人は顔を見合わせる 「柊さんのお気に入りのお店でおいしいもの食べようって約束してて プレゼントも一応用意したんだけど」 ちょっと考えてから やっぱり二人に相談しようと決める 「一緒にいてくれるだけでいいって言われるんだけど それって その も込みってことかなぁ」 ぎゅぅぅぅぅ! 突然麻莉に抱きしめられる その上からふみも抱きしめてくる 「もう!かわいいなぁ!みうは!」 「いいんだよ そんなの しなかったら別れる!っていうなら ハシマさんはそれだけの男ってこと」 「もう全力で私たちが守ってあげるから 安心してお誕生日を祝っておいで」 と交互に言ってくれる 「みうはみうの思うままにしたらいいんだよ でも」 「なったらしちゃっても いいんだよぉ」 と二人は顔を見合わせてにやにや笑う 「もうふたりとも!」 そういって怒ったふりをしたけど ありがとう二人とも  もう好きになってしまってるから 怖いけど 思い切って私の思うこと柊さんに伝えて めーいっぱい楽しむことに決めた
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加