だって好き

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だって好き

どうしよう  このまま『お別れ』とかなったら 「いつの間にそんなに好きになってたの?」 ふみと麻莉がへこみすぎた私に学食をおごってくれる 「いつの間にか…」 「これは抜け殻だねぇ」 「もう やる前でよかったって言わないで いっそ思い出に一回…」 「はやまるな!」 こんなやり取りを30分くらい繰り返してる 「みうを大事にできないならそれだけの男なんだよ」 「いや 私がわがまますぎたのかも しかも自意識過剰だし」 「よしよし」 ピロン♪その時私のスマホがなる 渋々確認すると “橋間 柊” 柊さんだ! ♯今日ご飯いかない? ど どうしよう 「ハシマさん?」 うんうん とうなずく 「ほんとわかりやすいね」 よしよし と麻莉に頭を撫でられる 「夕ご飯に誘われた」 「行ってきなよ」 「別れ話かな?」 「言ってみなきゃわかんないでしょ?」 「とりあえずは ミウの気持ちちゃんと伝えてくれば このまま終わりたくないんでしょ?」 少し悩んで覚悟を決める 何より会えるのはうれしい 「何もしないなんて みうらしくないじゃん」 2人とも笑ってくれる 「うん 気持ち伝えてくる」 「よし じゃぁ しっかり腹ごしらえして」 「元気出してこ」 二人に背中を押してもらって元気が出た気がする 一度家に帰って着替える 髪もアップにしてみる 『俺のために』と言った柊さんの言葉を思い出して なるべく柊さんが好きそうな服を選んでしまう  昨日の今日っていうのは タイムリーでよかったと思う 時間を空けて とか 冷却期間とかは私にはきっと耐えられない ♯カフェに来て とLineをもらっていたので モールのカフェに向かう 相変わらず繁盛してるなぁ カフェの入り口はモールの中でもにぎわっていて 特に女の子が並んでいるので何となく華やかに見える 「ごめんね お待たせ」といつもと変わらない柊さんがいた 「いえ お疲れ様です」 昨日あんな別れ方したから ほんとは会うの不安だったけど 柊さんの顔を見たら会えたうれしさのほうが勝ってしまう 「行こうか」そして当たり前のように手をつないで歩きだす もしかして 別れ話だったらどうしよう でもそしたら手なんかつながないよね?悪いことばっかり浮かんでしまう うつむいて足も遅くなってしまう 「ミウちゃん?」急に立ち止まった柊さんに軽くぶつかってしまう 「あ ご ごめんなさい!」柊さんの顔が見れない 考え事してたからわからなかったけど 駅まで来ていた 「ここ座ろっか」そう言われて そばにあったベンチに柊さんと並んで座る 「ごめん 昨日なんかごめんね」 柊さんはちょっと困ったように髪をかき上げる 「あの私 もしかして 嫌われちゃったのかなって…」 「え?」 「柊さん もてるから 私 彼女なのにその 誕生日なのに 彼氏の部屋にも上がれなくて 別にもったいぶってるわけじゃないんですけど…やっぱ怖くて…」 「え?」柊さんは迷わず私の肩を抱く 「ごめん 確かに俺女に困んない的なこと言ったけどさ そんな器用じゃないし それに言ったでしょ?ミウちゃんのことそんな軽く考えてないって」 まいったなぁと空を見た 「実はさ 俺もミウちゃんに嫌われたんじゃないかって思ってさ そしたらさ もしかして俺みたいなやつが他にもいて タイミングよくミウちゃんに声かけたらどうしようって なんかいてもたってもいられなくてさ」そう言って顔を少し赤くして 恥ずかし と小さくつぶやいた 「よかった…」なんだか ほっとして涙が出てきた 嫌われてなかった… 「え? ごめん 何?泣いちゃった」 慌てて服の袖で私の涙をぬぐう柊さん 「ごめんなさい なんか柊さんに嫌われてないってわかったら ほっとしちゃって」 そう言ったら 柊さんはぎゅっと私を抱きしめて 「大丈夫だよ ごめんね 焦らないでさ ゆっくりでいいから ずっと一緒にいよう」と言ってくれた ぐぅぅぅぅぅぅ !!!!! 超絶いいタイミングで私のおなかがなる 「ご‼ごめんなさい」 「ぷっ!」はははははと柊さんが盛大に笑う 「安心しておなかすいちゃった?」 おっしゃる通りです なんて恥ずかしい… 「なんか食べにいこっか?」 「あの」 「?」 「柊さんのお部屋ではだめですか?」 「え?」 「あの 無理にじゃないんですけど ダメですか?」 流されてるわけでも 覚悟があるわけでもないけど 外で食べるより 2人きりになりたい 無性にそう思った 「俺 俺の部屋 いいけど いいの?」 「はい 行ってみたいです」 「あ でも食材何にもないから テイクアウトでいい?」
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