タイミング

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「ごちそうさま」 「お口にあってよかったです」 いつもみたいに たくさんほめたりしなかったけど  部活帰りの子供みたいにがつがつ食べてくれた しかも スマホに写真を保存してた 「ミウちゃんのだからね」 という言葉に反応してしまう 私意識しずぎだなぁ でも仕方がない 最近の柊さんは色気というか つやっぽさというか なんかそういうのがあふれている 人肌恋しい季節だからかな?それとも街がクリスマス色になって気持ちが浮足立ってるせいかも  「ミウちゃんの唇グロッシーだね」 パスタのオイルのせいだ 慌ててティッシュで拭こうとすると 柊さんの手がすっと伸びてきて 親指で私の唇をゆっくりなぞって拭って(ぬぐって)行く どうしよう ぞくぞくする ふと見ると柊さんと目が合う いつもと違うすごく色気のある瞳に耐えられないのに逸らせない 「食器洗っとくよ お風呂入っておいで」 「あ ありがとうございます」刹那 いつもの柊さんに戻る はぁ ドキドキする 「お先にいただきました」ホカホカの体で気持ちもぽかぽか お風呂って幸せ 「じゃぁ俺も入ってくるね」 そういってお風呂に入る柊さんにいつも思う 湯上りの柊さんの破壊力は何度見ても半端ない 絶対誰にも見せたくない こういうの独占欲っていうんだろうか? 冷蔵庫に入れてたお茶をグラスに入れて飲む 「はぁ」柊さんの部屋ですっかりくつろいで過ごしてるなぁ まったりしてると 柊さがお風呂から出てくる はぁやっぱりかっこよすぎる 「しゅ 柊さんも飲みます?」目を合わせられないままお茶を注ぐ 「うん」 コップにお茶を入れて柊さんに手渡す 「ありがと」そう言いながらテレビをつけて居間に座る柊さん   「おいで」私も誘われるままに 隣に腰を下ろす 「あっ!この人歌うまいですよね」 テレビでは最近よく見るアーティストが歌っていた その瞬間チャンネルが変えられる 「え?」 「ヤダ」 「なにがですか?」 「俺以外にミウちゃんがあんな視線を向けるの ヤダ」 え?突然子供みたいなことを…これってまさかの嫉妬? ぼうっと考えてると 急に視界が閉ざされる  チュ 柊さんにキスされた 軽く唇が触れて 離れた後 すぐにまた柊さんに唇をふさがれる でも違う 柊さんの唇は薄く開いて柊さんの舌が私の唇をノックする その動きはとてもやさしくて自然で 私も当たり前のようにそれを受け入れてしまう 初めてじゃない ディープキスも初めてじゃないけど なんかやばい 今日のは自分を見失いそう 「ん しゅう 柊さん…」 何とか柊さんの胸を押して少し距離を作る 「ごめん きょうはもう寝よっか」 いつもの柊さんだ  「は はい」 柊さんは寝室の電気をつけて 「ミウちゃんはここで寝て」と言われた 「え?柊さんは?」 「俺はこっちで寝るから」とリビングのソファーを顎で指した もしかして キスを拒んだから嫌われた? 「あ あの…」 「ごめん 大丈夫だから」力なく笑ってくれるけど 何が大丈夫なの? 仕方なくベッドに横になる なんか柊さん変だ 静かな部屋にテレビの音が聞こえる
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