タイミング

3/3

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「はぁ」 寝付けないでいると柊さんの大きなため息が聞こえた 足音が寝室の前に来てまた引き返す 柊さんもねむれないのかな?  テレビの音が消えて さらに静かになる さっきのキスを思い出す あの柊さんの表情が目に浮かぶ そっと自分の唇に触れてみる 静かな分自分の心臓の音がうるさく感じる すぐ近くに柊さんがいるのに… こんな距離感耐えられない たまらずに起き上がってリビングに戻る 毛布を掛けて天井を見ている柊さんに近づく 「ミウちゃん?どうしたの?」 「ご ごめんなさい」 「え? なに?」 「さっき キス…キスを止めてしまって」 「あ あぁ いいんだよ ちょっとやりすぎちゃったかな」 優しい いつもの柊さんだ 「怒ってないですか?」 「怒ってないよ なんで?」ふわっと笑う 「き 嫌いになってないですか」 「はぁ まいったな…」今日何度目だろう柊さんのため息 「嫌いになんかならないよ むしろ…俺のほうがごめん」 やっぱりなんか変な柊さん 「あ あの 一緒にいちゃだめですか?」 一瞬目を見開いて そのあと戸惑ったような表情 困らせてるのかなぁ でも一緒にいたい 柊さんのそばにいたい 「…わかったよ ベッドいこう」 そういうと柊さんは私の肩を抱いて ベッドに入る 「あ ありがとうございます なんだか離れているのさみしくて こんなに近くにいるのに…」 「ミウちゃんそうゆうこと言うのだめ」 「え?」 柊さんが少し体を起こして私に半分覆いかぶさる 「ミウちゃんのこと大事にしたいけどさぁ 俺だって普通に男だから」 そういって私のパジャマの襟元を人差し指で少し引っ張る いや 中が見えちゃう 恥ずかしい! けどいやじゃない… 「かわいいパジャマの中身もいろいろ気になっちゃうんだよ」 わざとふざけたように言って空気を換えようとする柊さん でも目の前にある柊さんの体に私の鼓動はどんどん早くなっていく ふわっと香る柊さんの香りと 髪をかき上げるしぐさに 体がどんどん熱くなるのがわかる あぁもう私のほうが我慢できないんだ 柊さんが好きすぎて 柊さんが…ほしい 「そんな顔されたら 俺だってアウトだよ」そう言って私から目をそらす柊さん  「それとも 俺に襲われたいの?俺もう我慢できるかわかんないから…」 「はい」 そう答えた私に 柊さんが一瞬間をおいて驚いて振り返る 「私 私も我慢できないです」 言ってしまって顔から火が出そうなくらい恥ずかしい 「ミウちゃん言ってることの意味わかってる?」柊さんがこんなに慌ててるの初めて見たかも すごく混乱してるみたい 髪の毛をガシガシかいている柊さんがかわいくて独り占めしたくて 抱きしめてしまう 「ミウ…ちゃん…」 「好きなんです もう柊さんのこと好きすぎて言葉だけじゃ足りないんです」 そういって柊さんにキスをする 私は柊さんみたいな上手なキスはできないから そっと触れるだけのかわいいもの でも それで冷静さを取り戻したのか 柊さんは 私をじっと見つめて 「もう 止めらんないからね」 と一言言ってさっきみたいに深くて気持ちいいキスをくれた 「もうこれが最後の警告だよ ほんとにいいの?」 私はゆっくりとうなずいた もう一度落とされたキスに 私は溺れていく 少しだけ残った理性でお願いする 「できるだけ やさしくして…ください」 ギリギリのところで柊さんの意地悪な答えが聞こえる 「ごめん それは わからない」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加