新しい朝

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新しい朝

開けたままの小窓のカーテンから入ってくる朝日がまぶしくて目を覚ます あ ここ柊さんち…そう思って ふと横を見る !柊さんの寝顔 か かわいい そして目の前にある鎖骨 思わず触れて気づく あれ 何も着てない あぁっ!慌てて自分を見る やっぱり何も着てない だよね だって夕べ…だんだん脳が覚醒していく そうだ 私 柊さんと しちゃったんだ…改めて柊さんの顔を見る 恥ずかしい でも 不思議と満たされた気持ちになる 柊さん起きたらどうしよう でも今日お昼から仕事だっていってたなぁ もう九時だし起こした方がいいのかなぁ あぁ でもこうしてみてると ホントにかわいい 唇さわってもいいかなぁ あっそういえば昨日 最中に名前「みう」って呼ばれた気がする よびすてっていいなぁ また呼ばれたいなぁ といろんなことをかんがえて 思わず笑みがこぼれる 昨日と何も変わらないのに なんだか新鮮で 何かが変わった気がする  「見すぎ」 はっ! 「お 起きてたんですか?」目をつぶったまま 呟いた柊さんに驚く 「いつキスしてくれるかなぁって待ってたんだけど」急に恥ずかしくなる 「もしかして剥製か何かだと思われてるのかなって」 「そっ、そんなに見てないですよ!」 ふふ と笑って起き上がる 「おはよう」ちゅ 当たり前のように唇が重ねられる 逆光のシルエットさえ愛しい これ もうフィルターかかってるなぁ 柊さんが突然私の鎖骨に人差し指をあてる 「こんなに つけちゃった」 「え?」 「きすまーく」とても満足そうな柊さん 少しおどおどしてしまう やばい初めてのキスマーク 柊さんが触れたところに私も触れてみる もちろん触ってもわからない でもなんだかそこは暖かく   熱を持ったように感じる 「ごめんね 俺 優しくできなかった」 髪をかき上げて切なげに笑う 「そ そんな あの 」 「何? よかった?」といたずらっ子のように私の耳もとでささやく あたふたする私に 「ごめんごめんイジワルなこと言っちゃった」 そしてまた突然ぎゅっと抱きしめられる 柊さんの体温がダイレクトに伝わってくる 私の心臓がうるさい ?もしかして柊さんの? 「ごめん マジでミウちゃんの全部手に入れたのに」かすれた声でしっかりと私を抱きしめる柊さん 「いま 愛しくて大事で…俺やばいかも」 髪の毛にかすかに柊さんの熱い吐息がかかる 「もう 離してやれないかも」 「柊さん…」初めて聞く柊さんの声音 ねぇどんな顔してるのか 見たい 「ミウちゃん 愛してる」 「私も…私も柊さんのこと あ 愛して…ます」 「はずいね?『愛してる』なんて言葉で気持ち伝えることないと思ってたのに …」 確かに『愛してる』なんてドラマとか漫画とかでしか使わないと思ってた でも それしかない 『愛してる』から 「なんか食べよっか」 腕がほどかれてそういった時はいつもの柊さんだった さっきどんな顔してたのか見たかったな 「はい」 シャワーしてる間に柊さんがコーヒーを落としてパンを焼いてくれていた さっきお風呂で確認しちゃった 初めてもらったキスマーク パンを食べながら 柊さんがすっと手を伸ばしてそれに触れる 「俺ミウちゃん限定で嫉妬深いから 消えないようにつけまくっちゃうよ」 イジワルそうに言う こんなふうに柊さんに束縛されるなら ちょっとうれしいかも と思ってしまう私 やばいかなぁ? 「でも しばらくはこんなゆっくり会えないかも」 そっかお仕事忙しいシーズンだもんね ちょっとへこむ 「大丈夫です あ でもお茶しに行ってもいいですか?」 「うん あんま相手はしてあげられないけどね」 「わかってます 柊さんの顔見れるだけでいいので」 「あんまかわいいこというなよ」小さい柊さんのつぶやきは私の耳には届かなかったけど 思ってたのよりもずっと幸せな 初めての朝
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