初めてのクリスマス

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初めてのクリスマス

翌日  私の顔を見た麻莉とふみにすぐに問い詰められる 「なんかあったなぁ?」 なんだろう 私わかりやすいのかなぁ そんなへらへらしたりしてないと思うんだけど 「な なんにもないよ 」 「いや あんた金曜と雰囲気全然違うけど」 「え?ほんと?」 「ほらぁ」 あ ちょろいな私 「…はい」 そして 週末のことを二人に話す いつも応援してくれてる二人は 私の話を自分のことみたいに 聞いてくれた 「そっかぁ」 「よかったね」 「蓮見さんもそうだから人のこと言えないけど ハシマさん意外と嫉妬深いのかな?」 「なんで?」 「これこれ」襟元から少し見える を指差してふみが言う 「もう 見せびらかしてくれちゃってぇ」麻莉に茶化されて慌ててマフラーを巻く 「でもこの色気はハシマさん心配だろうな」 帰り道、麻莉が私のほっぺをつんつんしながらいう 「色気ってなに?」その指を制止しながら私も聞く 「いや 全然雰囲気違うよ 女の私から見ても」 そうかなぁ 私は何も変わってないし  色気なら麻莉やふみのほうがあると思う 「ふみもなかなか最近大人っぽくなっちゃって こないだバイト先で声かけられたらしくて 蓮見さんも大変みたいよ」麻莉はどこか面白そうに言った あの蓮見さんならどんなイケメン来ても勝てそうだけど しかもふみは絶対よそ見しないし 蓮見さん以外にはかわいそうなくらい塩対応だし 麻莉も似たようなこと考えていたらしく  「心配ないのにねぇ」と2人で笑ってしまう そこに電話が鳴る 「あ 私だ」麻莉が急いでスマホのボタンを押す どうも 尊臣さんらしくしばらく話した後 電話を切った 「ごめんごめん」 「尊臣さん?」 「うん クリスマスの予定だって」 「そっかぁ まめだね」 「まあね 少し距離ある分イベントは大事かな」 そういう麻莉の顔は嬉しそうだ 「ふみはクリスマスバイトだって言ってたけど みうは?」 「私は特に予定ないかなぁ」 「あぁ そうか ハシマさんレストランもやってるもんね」 「クリスマスだけじゃなくて年末は繁忙期だからね 昼間はカフェのお手伝いだっていうから お茶しに行こうかなって」 すると麻莉にぎゅっと抱きしめられて  「けなげだねぇ かわいい よしよし」とされた 「麻莉 苦しい」 「あ ごめんごめん 私も一緒に過ごせなくて ごめんね」 「いいよ」 そんなたわいもない会話を楽しんだ 何日かして街はクリスマスイブ 麻莉は尊臣さんと合流してからそのまま実家に行くから 次に会うのは年明けになる  ふみはケーキ屋さんで短期のクリスマスバイト どうやらユニフォームのミニスカサンタのスカート丈で 蓮見さんはだいぶご機嫌斜めらしく 柊さんが困っていた 「俺ならあの衣装無し」と柊さんは言い切っていたけど 私はかわいいと思う ちょっと着たいかもって思ったことは言えない そんな柊さんはやっぱりイブは忙しくて電話しかできなかった  クリスマス当日にどうしても会いたくて 夕方カフェのバイトが終わる少し前の時間に合わせて 一人でお茶しに行く  「いらっしゃいませ」迎えてくれたのは心なしか眉間のしわが深い蓮見さんだった 「こんにちは 1人でいいですか?」 「もちろん」どうぞ と案内される さすがにプロなので言うことない接客だけど いまだミニスカで働いてるであろうふみのことを思うと心中穏やかでないはず 「今 ウェイターよこしますね」 「あ ありがとうございます」 頭を下げて 下がる    
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