今年もよろしく

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いよいよ大晦日  うちの両親は『二人で初日の出を見に行くから』と長野にあるホテルを予約している ここ何年かは毎年家族が顔を合わせるのは1月3日が定番だ まぁ 毎年こんな感じだし 夫婦なかがいいのはいいことだしね 柊さんも お正月は家に帰ってないみたい だから大みそか(今日)はずっと一緒にいられる  柊さんの家で ちょっと掃除をしたりDVDをみたりして過ごす 「今日はさ 年越しそばとか食べちゃったりする?」 「いいですね 天ぷらとかつけたいですね」 「商店街の揚げ物屋さんで天ぷら売ってたから早めに買いにいこっか」 街中が忙しそうで でもなんだか賑やかで楽しそう こういう雰囲気好きだなぁ お蕎麦とてんぷらを買って柊さんの家へ あったかい空気にほっとする 柊さんがつけたテレビではもう年末のスペシャル番組が始まっている いつも通り柊さんに後ろから包まれて 私はお茶を柊さんはビールを飲みながら テレビを見る ただそれだけのことなのに すごく幸せ  チュ 突然 耳にキスされる 「真っ赤になった ミウちゃんかわいい」 「もう 柊さん酔ってるんですか?」 「俺 強いよ」 確かに 蓮見さんが「柊には付き合えない」というほどお酒には強いようだ 「おなかすいたし もうお蕎麦食べよっか」 「ほんとだ もういい時間ですね」 私がお蕎麦をゆでてる間 柊さんはちょいちょいちょっかい出してくる 「もう!」っていうけど 『THE恋人の日常』って感じで悪くない 「いただきます」 2人そろってお蕎麦をすする  「おいしい やっぱさ 誰が作ったか 誰と食べるかって大事だね」 「はい 柊さんと食べたらこの特売のお蕎麦もおいしいです」 「はは だね」 天ぷらもあったから おなか一杯になる お風呂入って もうあとは寝るだけ だけど いつもよりくっついてくる柊さんのせいか なかなか睡魔はやってこない リビングでテレビを見ている柊さんのそばに行くと 柊さんの足の間に座らされる 「今年は特別な一年だった」 耳元で柊さんにささやかれた  「私もです」 「生まれて初めて一目ぼれしたし ミウちゃんに会えてよかった」 さらに強く抱きしめられる 「私もです 柊さんに会えてよかった」 今年はいっぱいだったもんね 「やばい ミウちゃん」 「ん?」 「こっち向いて」 顔だけ振り返る 「違う体ごと」 え?それ恥ずかしいんですけど でも吸い込まれそうなほどの目力に負けて仕方なく柊さんに抱きつく 「やっぱいいね」 「なにがですか?」 「ミウ」 ドクン と心臓が波打つ 首にかけられた柊さんの腕に引き寄せられ ゆっくりと唇が重ねられる 「ハッピーニューイヤーミウちゃん」 離された唇から柊さんがそういう あぁ年越したんだ 「ハッピーニューイヤー 柊さん今年もよろしくお願いします」 こくりとうなずいた後 「いや これからずっとだな」 と柊さんは微笑んだ ほんとにずっとずっと一緒にいたい 私も心からそう思う    
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