柊さんって何もの?

1/2

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

柊さんって何もの?

「あのさぁ ミウちゃんから手離してくれない?」 いやだと思った瞬間 先輩の肩越しに柊さんの声が聞こえる とてつもない安心感 「は?」先輩が振り向く 柊さんは私たちに近ずいて 私の肩から先輩の手をどかして 私を自分のほうに引き寄せる 「誰?」先輩は柊さんの顔を覚えてないらしい 「ミウちゃんの彼氏です」 「は? みう お前もう彼氏いんの?」 いたとしてもあなたには関係ない 「しかも そいつともうやったのかよ」 先輩の視線が私の首元をにらんでいる 「俺の時はもったいぶって こいつならいいってなんだよ」 「別にもったいぶってなんか…」 何言ってるんだろう? もう別れたのはとうの昔なのに… 「何言ってんの?」柊さんが私をかばうようにして先輩に言う 「いつの話だよ いつまでもミウちゃんがお前のこと好きでいるとでも思ってるの?」先輩は呆然としている 「未練なんてもうこれっぽっちもないと思うよ」ねミウちゃん と聞かれて コクコクと首を縦に振る だって柊さんが好きだから 「むしろあんたいつまでミウちゃんのこと追っかけてんだよ キモチワルイよ」 「はぁ?別にみうのことが好きとかじゃねーし こいついいからだしてるし 処女なら一回くらい抱いてやってもいいかなって思っただけだよ」 好きじゃないし わかってたけど 言葉にされるとやっぱり心えぐられる 「じゃ もうミウちゃんにこだわらなくていいよね」そう言って柊さんは先輩の耳もとにささやくように 「もう ミウちゃんじゃないし」と言ってにやりと笑った かすかに聞こえて恥ずかしくなる こんな状況なのに 柊さんとのことを思い出してしまう 「愛情の深さが違うからさ もう ミウちゃんはあんたのこと好きじゃなし もとさやはないよ」柊さんがそういうが早いが 先輩が柊さんにつかみかかる 「てめぇ」先輩がうなったとこで 「待ってよ こんなとこじゃなんだから ちょっと場所変えてしない? お友達も待ってるみたいだし」柊さんが少し離れたところにいた先輩の友達に視線を送る 「ふっ!いい根性してんな いいよ 場所変えようぜ」 先輩も不敵にほほ笑む 「柊さん…」 「ごめんミウちゃん ちょっと店長のとこ行ってて」 柊さんはそういうと私の頭をポンポンして 「店長に事情話して おりこうにまってて」と言って先輩とレストランの先のビルの間に入っていった 追いかけても邪魔になるだけ 大事になる前に店長さんに助けを求めよう 急いでレストランに入った 「いらっしゃいませ」店員さんが笑顔で迎えてくれるけど 「あの 私橋間 (ハシマ)柊の知り合いの美海っていうんですけど 店長さんいますか?」と早口で話す この店員さんも私を見たことがあるみたいで すぐに店長さんに話を通してくれて バックヤードにに入ることができた 「店長さんごめんなさい 今柊さんが」 今あったことをなるべく簡潔に話そうとするのにうまくまとまらなくて でも店長さんは黙って聞いていくれて 理解してくれた 「通報とかしたほうがいいでしょうか?」いくら何でも3対1じゃ分が悪い 「ミウちゃん何かされた?」店長さんは冷静だ 「いえ 肩をつかまれたくらいです」 「じゃ しばらくここで待ってな 大丈夫だから」 「へ?」なんでそんなに落ちるいてるの? 「もしミウちゃんがなんかされてたら 救急車くらい呼んだほうがいいかもだけど 何もされてないなら 多分手加減できると思うから」 店長さんの返答に戸惑いながらも 私には何もできないので黙ってしまう 「とりあえずさ これ飲みな」そう言ってココアを入れてくれる  「ありがとうございます」けどそんな気分になれない しばらく静かな時間が流れる がちゃん 裏のドアが開く音がした 「てんちょー!」柊さんの声だ 思わず立ち上がって パーテーションを背伸びしてみる 見えないけど 足音が聞こえて  「ミウちゃん大丈夫?」そう言いながら顔をのぞかせる柊さん 「あ ミウちゃんお待たせ」そう言ってにっこり笑う 「大丈夫なんですか?」近づこうとすると 「ちょっと待って 手だけ洗うから」 とせいされた すぐに店長がタオルを持ってきてそれで 顔も洗ってから私のところに戻ってきて ぎゅっと抱きしめる 「柊さん」 「よくわかってくれたみたいだから あの人たち もう ミウちゃんにちょっかい出さないってさ 約束してくれた」 「え?」 「うん とにかくもう大丈夫だから」そういって もう一度ゆっくり私を抱きしめる 「すいませーん そういうのいえでやってもらえますか?」あ 店長さんいたんだ 「あ すいません すっかり忘れてました 店長のこと」柊さんが当たり前のようにいう 「何その顔 『気ぃ利かせていなくなれやぼけ』って顔してるけど」そう言って柊さんをにらむ 店長さん 「あ わかります?」さらっと返す柊さん 「あ あの柊さんもう離してください」遠慮がちにそういうと 「ほら ミウちゃん気をつかちゃったじゃないですかぁ」とむくれる柊さん 「ばぁか おまえが所かまわずミウちゃんに盛るから照れてんだよ」という店長さん 「わるかったな 俺が呼び出したりしたから」すぐに店長さんは真面目にそういった 「いや おかげで しっかりけりがついたんで ミウちゃんにはいやな思いさせちゃったけど とりあえずよかったです」 柊さんもそういって頭を下げる 「あとさ お前ちょっとミウちゃんのこと考えてやれよ」と店長さんが私の首元を見る はっ!隠すの忘れてた 「じろじろ見ないでください」となぜか怒る柊さん 「ミウちゃん苦労するねぇ」と私に同情の目を向けて柊さんにあきれた視線を送る店長さん 「いえ 私のほうが柊さんに苦労かけてる気がするので」 「そんなことないよ 帰ろっかミウちゃん」と切り替え早く店長に頭を下げる柊さんに続いて 「お世話になりました」と店を後にした 「はいまたおいで」と優しい店長さんい見送られる
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加