恋の予感?

1/1

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

恋の予感?

夏休みに入ってすぐ サークルの親睦会があった とはいっても 参加者はあまりいない 先輩3人と一年生5人で 「どっかでお茶でもしない?」 となった テニスサークルとはほんとに名ばかりで たまに集まってだべる のがメイン 「モールのカフェ チョーイケメンぞろいだよ」 先輩のその一言で に決定した 蓮見さんいるかなぁ そう思いながら 軽い足取りで カフェに向かう みんな服装もメイクもばっちりだ 女子だけの学校なんてこんなもん 先輩たちも校外では女子力が一気に上がる 女ってすごい と思ってしまう 「いらっしゃいませようこそ」 相変わらずはずれのないイケメンに案内されて窓際の広いテーブルに着く 私はこの前ふみが飲んでたハーブティーを頼んで この前おいしかったアップルパイを添える 「いらっしゃいませ」給仕してくれる店員さんの声にハッとして見上げると 背の高い店員さんだった 私を見てにっこり笑うと 「また来てくれたんだね」と耳元で小さくささやかれた 「 …!」なんだかとてもドキドキする こんなにたくさんのお客さんの中で私のこと覚えててくれた 恋愛体質の私にとってはそれだけでときめきポイント爆上がりだ 「アップルパイでございます」 そういってお皿を置いて私たちのテーブルを後にする 偶然にもテーブルの端のほうに座っていた私と 店員さんのやり取りは おしゃべりに夢中なみんなには気づかれなかったことにほっとする テニスの話なんて一つもしてないけど いくつになっても“女の子”だ ましてやこれだけのイケメンぞろいのお店なら 話のネタも尽きなくて やっとお開きになる 「1人づづにする?」そういう先輩たち  「先輩良ければ私まとめますよ」 そのほうがお店も迷惑にならないと思う 概算でもらっても小銭が集まる ちょっとお財布重くなっちゃうな 「先に出ててください」そう言ってレジに向かう  「ごちそうさまでした」レジにはやはりイケメン ほんと眼福のカフェだなぁ レジにいた店員さんがレジを打とうとすると 「ヤマウチ君レジ俺やるよ」と 突然あの店員さんがレジにやってくる 「あ」なんだか少し照れてしまう 「了解」 そういって『ヤマウチ君』と呼ばれた店員さんはレジを後にする 少しの沈黙 レジの音だけが二人の間に流れる 「俺 シュウ ハシマ シュウ」 突然 とても柔らかい笑顔で名札を指しながら 自己紹介をしてくれる 「みうちゃん?」 「え?」なんで私の名前…? 「いや さっき一緒の子たちがそう言ってたから」 「あ あぁ」 「よかったら知りたいな フルネーム」 手際よく合計を出して トレーを差し出す シュウさん 慌てて 財布を開けてお金を出す  「こ 小銭だしてもいいですか?」 「ふふ どうぞ」 小銭をピッタリに出すと お財布も軽くなる 「ありがとうございます」 そういってピッタリの会計を受け取るシュウさん 「名前で呼んでいい?みうちゃん」 なんだかずかずかと踏み込んでくるのに 全然いやな気にさせない あれ?もしかして私 かかっちゃってる? 「サナダです サナダ ミウ」 思わず 勢いよく自己紹介して ハッとして周りを見渡す よかった 誰もこっちを見てない 「サナダ ミウちゃんね ミウちゃんまた来てね」 そういって またにっこり笑った後 紙を一枚渡してくる よく見るとそれは名刺だった 「よかったら連絡頂戴」とウインクされた ドキン!そのしぐさに心臓が跳ねる きっと私赤くなってるだろうな 「ご ごちそうさまでした」 逃げるようにお店を出る私の背中に 「ありがとうございました」というシュウさんの声が覆いかぶさってきた
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加