もやもや

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もやもや

こんなふうに 名刺を渡すなんて ちょっとチャラくない?  アパートのベットに横たわって もらった名刺を眺める   なんだか即席で作ったような 簡易的な装飾のある 名刺には『(シュウ)』とかいてあって ホストクラブみたいだ 裏には手書きで携帯番号が書いてある 「これってどう受け止めたらいいんだろう」 口に出してみても答えはわからない もしかしたらいろんな子にこうやって声かけてるのかなぁ 何となく疑心暗鬼というか 慎重になっている自分にももやもやする そしてすぐにこの微妙な気持ちの原因に気付く あぁ 今回は私から声をかけたんじゃなくて から不信に思うのかも 自分の気持ちはぶつけて行けるのに 人の気持ちを受け止める経験が極端に少ない いやもはや初めてなのかも 「私ってこんなに臆病だったんだ」 相変わらず 返事のない空間に話しかけてしまう 新学期になって 久しぶりにふみと麻莉に会う  麻莉は 実家に帰って 高校からお付き合いしてる彼氏と過ごしたみたい 「これお土産」食堂で定番的なお菓子を出して広げる  「わーい」それに素直に喜ぶ私たち2人を見て 麻莉は 「小学生か」とうれしそうに突っ込みを入れる 「で?ふみはどうなった?」 私も思わず身を乗り出してしまう 夏休みに例のと何回か“デート”をしたみたいだ 「まぁ 何回かね 会ったけど いい人っぼいよ」まるで他人事みたいに言うけど その雰囲気は柔らかくて 幸せそうだった 「そっかぁ いい感じなんだね」麻莉の言葉に ふみはちょっと照れ臭そうにうなづく 「で みうは?」 「え?私?」急に話を振られる あっそう言えば 私失恋したばっかりだった 気づいたら もう気持ちは柊さんで埋まり始めていて先輩のこと忘れかけてた 「夏休み中なんかあった?」 勘のいい麻莉は私の反応に“何か”あったことを悟ったみたい あぁ私ってつくづく顔に出やすい(^-^; 「夏休み中に何かあった?サークルとか?」 ふみがお土産のお菓子を口に入れながら聞いてきた 私もつられてお菓子をつまむ 「実はさぁ」 私は 3人でカフェに行った時のこと それからサークルでカフェに行った時のことをざっと話した 「へぇ そんなことがあったんだ」 「あのカフェの店員なら顔面偏差値は高そうだよね」 ねぇ と2人は顔を見合わせる 「でも なんかピンと来ないっていうか」 「何が?」 ふみがひらめいたように言う 「あ!そうか いつもは “みうが好きになる”からぐいぐいいってたけど 今回は“相手から”来られたから みうのペースがつかめないんだね」 「そうそう そうなんだよね なんか疑っちゃうっていうか 名刺もさ なんかチャラいんだよね」と言ってもらった名刺を見せた 「確かに」ふみと麻莉は顔を見合わせる 「まぁ いいんじゃない たまにはさ じっくり考えるいい機会かも」 「別にまだ告白されたわけじゃないんだし」 「うーん そうだね」 「でも 何度も言うけど ちゃんと自分を大事にしてよ」 ふみがお母さんみたいに言う 「そうだよ 新しい恋は大事だけど焦んなくっていいんだからね」 麻莉も力を込めて助言をしてくれる 「うん わかった」二人が親身になってくれてるのがわかって なんか嬉しい 「また 一緒にカフェ行こうね」 「だね」 二人に話して 少しだけ“もやもや”が軽くなった気がした
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