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あの日から今日で1ヶ月。 何度かメッセージが送られてきたけれど、開いていないし、そうしているうちにもう何の音沙汰も無くなった。 やはり俺はその程度の存在だったんだろう。 じわりと涙が滲んだらしい。らしい、というのは、眺めていた月がゆらゆらとぼやけたからだ。 あぁいやだ。あんな奴のために涙なんか流したくない。 思い立ち、スーパーの袋の中からプリンを取り出して月と並べて見る。 丸いかたち、少し白を混ぜたようなこっくりとした黄色。 再び袋を探って今度はスプーンを探す。確か、レジのお兄さんが入れてくれていた筈だ。 「もっと落ち込んでるかと思った」とシマは言ったけど、うん、俺も。 あの日あのベンチで食べたケーキが救ってくれた。あれがなければもっと酷いことになっていたかもしれない。 「……あった。」 透明の袋に入ったやはり透明のプラスチックの小さなスプーンは月明かりでささやかに光る。 「さとーさん?」
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