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「ふぅん。それでそんなに健康的なのか。」 「うん。まぁ。」 久しぶりに飯でも、とシマに誘われ、馴染みの洋食屋にランチを食べにきた。 ここのチーズハンバーグは最高に美味しいんだ。 一般的なランチタイムよりは少し遅い時間。店には俺たちの他には数人の客しかおらず、ゆったりとした時間が流れている。 「いいじゃん、俺も筋トレのメニュー増やそうかな。」 「シマはそれ以上鍛えてどうすんだよ。」 「えー店の売りにできねぇかな。マッチョの作る和菓子、とかって。ホームページに載せてくれよ。」 そういってシマは座ったままムキムキとポーズをとる。 隣のテーブルを片付けていた店員の男の子がシマを見て小さくころころと笑った。 「あはは。いいよ。写真撮ったらデータ送って。」 「おぅ。楽しみにしてろよ。」 「期待しとく。」 「でもいいよな、一緒に歩いてくれる仲間がいるってのは。」 「ん?うん。」 藤巻くんのことを何と説明していいのか分からなくて、散歩仲間みたいに話してしまったのだ。まさか手を繋いでるなんてことも、言えない。 「ま、とにかく安心したよ。ちょっと前……あいつと付き合ってる時の楓、見てられなかったもん。」 「……そんなにひどかった?」 「んーうん。まぁ、正直。だいぶ?」 「お恥ずかしい。」 「大丈夫大丈夫、生きてりゃそういうこともあるさ。大体、俺のほうが楓には恥ずかしいとこもみっともないとこもさんざん見せてるし。」 デザートのプリンが運ばれてきて、その話はそこまでになった。ここに来たらこのプリンは必須だ。 「美味い……!」 「楓、昔っからそれ好きだよな。」 自分はコーヒーゼリーを食べながら、シマはにこにこと言う。 「カラメルがまた美味いんだよ。はー幸せ。」 「よかったよかった。また来ような。あ、そういえば25日、どうする?楓んとこにも連絡きただろ?」 「あぁ、あれな。どうしよっかな。考え中。」 少し前に学生時代の仲間から、集まろうと連絡がきていた。ちょっとした同窓会だ。 「まったくクリスマスにやるなんて、配慮がないよな。恋人とか家族とかと過ごすかもしんねぇじゃんな。」 シマはやれやれといったふうに大袈裟にため息をつくけれど、俺にもシマにも一緒に過ごす予定の人などいない。 「大体俺が和菓子屋だからクリスマスは関係ねぇって思うのかもしんないけどさ、年末は和菓子屋って結構忙しいんだぜ?」 「知ってるよ。毎年お疲れ様。うちの実家に持ってく餅も、よろしくお願いします。」 丁寧に頭を下げる。 「うむ。しかと頼まれた。」 腕を組み踏ん反りかえったシマが言い、2人で笑い合った。
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