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誰?
チョコレートみたいなブラウンの髪の毛。すごく背が高い。
「それ、バースデーケーキでしょ?」
「えっ、あ、はい。そう、だけど。」
「でもさ、いくら誕生日でも猫にケーキはまずいんじゃないですか?」
「ちが……っ、あげないです。誕生日なのは、この子じゃなくて俺の……」
恋人……元恋人?え?別れた?終わったのか?
ちがう、恋人でもなかった、浮気相手?なんて、おかしいし。ええと
「知り合いが。誕生日で。」
言った途端、涙がぼろぼろと溢れた。
『知り合い』か。
ただの知人にこんな立派なバースデーケーキて。
笑えてくる。
「俺、新聞屋なんだ。」
「……そうなんだ。」
「違うよ、新聞屋じゃない。」
「へ?」
「違うんだ、ちがう、ぜんぜん違う。俺は……」
恋人だと思ってたのは、俺だけだった。
バカみたいだ。ほんと。バカみたい。
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