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「で?何の話だっけ」 宮本は、日本酒をチビチビとやりながら、胡麻豆腐を摘んでいる。 眞白は大きな海老の天ぷらと格闘しているところだった。 「あ、えっとですね。ちょっと言い難いんですが…」 「うんいいよ。なんでも言って?」 「薫さんのEDのことです」 宮本は眞白の口からそんな言葉が出てきたことでギョッとした顔をした。 「な、なんで知ってんの?眞白ちゃん…」 「あ、その。本人から聞きました」 その前の話は省いて眞白は言った。 「原因って知ってますか?宮本さん」 「それね…」 プライベートなことだからなぁ、と少し迷った挙句、眞白ちゃんだからな、と話し始めてくれた。 「アイツのうち、今両親が別居中でさ。その原因が薫の性癖のことで…」 宮本は、一息ついて日本酒を飲む。 眞白も烏龍茶を飲んだ。 「ウチなんかはさ、姉貴も兄貴もいて、もう孫も4人いるからさ、うちの親も俺のことは諦めてくれてるんだけど」 「そうなんですね」 眞白は、賑やかな宮本家を思い浮かべる。 「薫は一人っ子なの。だから親父さんが薫の性癖知った時に、そりゃもうブチ切れでさ、お袋さんにお前の育て方が悪いからだ!って言って責めて」 「そんな…」 眞白は薫の母親の気持ちを思って悲しくなる。 性癖に育て方なんて関係ない。 「それだけならまだしも、薫に向かって何の為に育てたのか分からないって」 「酷いですね…」 「それからかな…。薫がダメになっちゃったのは」 「そっか…」 そんな酷いことを言われたなんて。 考えるだけで辛かった。 「俺もさ、色々努力したんだよ?薫のこと好きだったし。まあ想像に任せるけど。色々ね」 眞白は少し恥ずかしくなる。 想像に任せる、と言われて色々と想像してしまう。 「でもダメでさ…。薫のほうから、他に男作れって言ってきて」 「そうなんですね…」 薫さんらしい。きっと宮本さんを気遣ってのことなんだろう。 眞白は、心が締め付けられる思いだった。
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