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朝。
9時過ぎに部屋を出た。
昨夜は遅くまで片付けをしていたので、少し眠い。
眞白は、気持ちの良い午前中の空気を吸い込んで『orange』に向かった。
『ミートショップおかの』の前で海里の母親を見かけて「おはようございます」と挨拶する。
少しずつ顔見知りが増えるのは楽しい。
『orange』は、まだCLOSEのままだったが、鍵は開いていた。
「おはようございまーす」
カラカラン〜と音を鳴らしてドアを開ける。
「あ、おはよ、眞白ちゃん。やっぱり来たんだ」
宮本は今日はスーツ姿ではなく、Tシャツにジャージでカウンターの椅子に腰かけ、コーヒーを飲んでいた。
「あ、宮本さん…おはようございます」
「今日はね、俺、休みなの」
髪をハーフアップにして結わえている。
そういえば土曜日だった。
「そうなんですね」
「だから昨日は、ここに泊まって…」
「眞白、来たのか?」
バタバタと慌てるようにして階段を降りてくる音がした。
薫は、宮本と同じく下はジャージ姿。上はTシャツを着ているが、髪が濡れている。
「わりぃな。寝坊してさ」
「薫、しつこいから」
二人のやり取りを聞いて、眞白はドキドキする。
「髪濡れてるよ?」
宮本は、首にかけていたタオルを薫に放り投げる。
「おう、サンキュ」
ガシガシと髪を拭きながら、店の奥に入りコック服を着始めた。
「眞白!」
ほいっとエプロンを投げ渡された。
「あ、はい!」
眞白は、昨日も借りたそれを受け取る。
「今日使ったら洗濯しとくから」
「あ、はい、すいません」
眞白は、なんだか色々頭の中がいっぱいになっていた。
身体の関係であることは分かっているけれど、こうも生々しく二人の姿を見せられると、どうしようもなくモヤモヤした気持ちになってしまった。
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