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―22時。 片付けが終わり、薫は鍵を閉めた。 「お疲れ様。遅くまでありがとうな」 薫は疲れた顔で眞白に笑いかける。 「はい、薫さんもお疲れ様でした」 眞白は、ぺこりと頭を下げる。 「泊まってくか?」 不意に言われてドキンと心臓が跳ねる。 もうすぐ一緒に暮らすのに、どうしてだかその言葉にドキドキしてしまった。 「あ、えーと」 「なんだ?まだ襲われるとでも思ってる?」 薫は、コック服を脱ぎながらクスクス笑っている。 「そんなんじゃないです!」 眞白は、慌てて否定した。 自意識過剰も甚だしい。 「着替えとかないし…」 「あー、まあな。じゃあ遅くなったし、送ってくわ」 薫は電気をパチンと消して裏口に向かう。 暗闇に二人きりになり、眞白の心臓は更にバクバクしてきた。 「あ、そうだ」 不意に振り返った薫と真正面から向き合ってしまった。 「わっ」 弾みで薫に抱きついてしまい、薫も受け止めてくれた。 「おっと」 柔らかく抱きしめられる。 「眞白」 「は、はい」 「ガスの元栓閉めた?俺」 「ふぇ?」 拍子抜けして変な声が出た。 わざとやっているのかと思うくらいに薫は眞白をドキドキさせてくる。 大人は余裕があるんだな… 眞白は元栓を確認しに行く薫の姿を見ながらぼんやりと思った。
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