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その夜。
さっそく海里から連絡があった。
『今日はありがとう!めちゃくちゃ嬉しかった!また遊びに行こう!』
テンション高めのメッセージに心が少し痛む。
でもきっとこれでいいんだと自分を納得させた。
海里のことをもっと知って、もっと好きになろう。
『こちらこそありがとう。これからもよろしく』
なんとなく堅いかな、と思いながらも、返信を打つ。
海里がどうしてこれほど自分を好いてくれるのか分からないし、どう対応すれば喜んで貰えるのか考えあぐねていた。
――――
「おはようございます」
「あーおはよ…イテテ…」
薫は、そう言いながら顬(コメカミ)を押さえている。
「二日酔い?」
「ああ」
眞白は二日酔いになるほど飲んだことはないが、辛そうで気の毒になる。
「頭痛薬、飲みますか?」
眞白は、カウンターの引き出しにある救急箱から薬を取りだした。
「そうだな、飲んどこ」
「ワイン、2本開けてましたもんね」
「え?そんな飲んでた?あんまり覚えてなくてさ…」
薫はそう言って薬を飲んだ。
…覚えてないんだ…
少しほっとする。
「なんかした?俺。眞白に」
「え?!なんかって…」
確かに抱きつかれはしたけれど、何かしたと言うほどではない。
「特に何も」
「そっか。なら良かった」
眞白は、昨夜のことはなかったことになるだろうと思っていた。
覚えていたとしてもどうにもならないことだ。
深く考えるのをやめることにした。
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