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「けどさぁ、なんで眞白そんなに薫さんのこと気にするんだよ」
唇を離して少し不満そうに海里が言った。
「宮本さんのことだって話さないほうがいいって言ったのにさ」
「いや、だってさ。お世話になってる人だしさ」
眞白は、しどろもどろになりながら言い訳をする。
「まあな。今は保護者してくれてる訳だしな」
「そうだよ。俺の衣食住は薫さんにかかってんだよ?」
海里は割に単純で眞白の言うことをそのままに受け取ってくれる。
そんなところがいいなと思う反面、罪悪感も強くなっていった。
「なんでもいいけど、解決するといいなあ、薫さんのその精神的ななんとかってやつ」
「そうだよね」
―生きてると色々ある。
薫が言った言葉を思い出した。
その色々が少しでも軽くなればいい。
眞白には、そう願うしかなかった。
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