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何時から何時までどんな条件で働くのか話を聞いて、2階も見せてもらった。
三部屋と水周り。
昔ながらの一戸建てだけれど、水周りはリフォームされているようで清潔感があった。
ひと部屋は倉庫として使われていて、缶詰などの常温保存の材料、ストローや紙ナプキンなどの在庫が置いてある。
「こっちは、俺の部屋」
「あ、はい」
チラッと薫が部屋を開けるのを覗く。
シーツの乱れたベッドが見えてドキリとした。
昨夜、宮本さんと…
良からぬ想像をしてしまい、眞白は勝手に赤くなる。
「で、こっちが」
振り返った薫と真正面から目があってしまった。
「あ、あ、はい!」
「何?どうした?」
薫は、なんだか面白いものでも見るように眞白のことを見た。
「何でもないです…」
眞白は下を向く。
薫は、自分のベッドを見て「ああ」と言い「なんか想像したか」と笑った。
「ごめんな、淫らな大人達で」
「いえ、そんなこと…」
「まあ、これからはあんまり声出さないように宮本に言っとくわ」
そう言って薫は、もうひとつの部屋を開けた。
「こ、声って…」
眞白は、余計に赤くなってしまう。
「この部屋、使って」
薫の開けた部屋は和室で、畳の上に段ボールや布団が畳んで置いてあった。
「越してくるまでに片付けとくから」
「はい、すいません。お手数お掛けします」
眞白は、ぺこりと頭を下げた。
薫は、その頭にポンと手を乗せる。
「こっちこそ、よろしくな。思った以上に使える奴だったよ、眞白」
「え!本当ですか?ありがとうございます」
眞白は、顔をあげて思わず笑ってしまう。
薫も釣られるように笑っている。
「あと風呂はぁ…」
水周りの使い方の説明を受けて階段で下に降りた。
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