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「で、大丈夫だったのか?」 「え?何が?」 「だから、薫さん」 海里が訝し気な顔で言う。 「ああ全然。だって薫さん、ちゃんと恋人いるし。俺みたいな子供のこと相手にしないよ」 眞白は、少しだけ自虐的に言う。 「なんだよ、相手にして欲しいのか?」 「いや、そういう訳じゃないけど」 眞白はそう言いながら、自分が少し傷ついているのが分かった。 「けど、まあ恋人がいるなら大丈夫か」 「うん、全然心配ない。あ、俺もう帰るよ。引越しの準備もしたいし」 眞白は立ち上がった。 「ああ。ゴメンな、引き止めて。また引越しの時、人手が居るんなら手伝うからさ」 「え?マジでいいの?」 眞白が言うと「もちろん!」と海里は言った。 「その代わりデートしてくれる?」 「え?デート?」 眞白は、可笑しくなって聞き返す。 「昼間も言ったけど、俺、男だよ?」 「まあ、いいじゃん。な?デートしてくれる?」 「いいよ、そのくらい。お安い御用」 よっしゃと海里はガッツポーズを作っている。 それじゃ、と行って店先に向かった。 海里の母親がお客さんと何か話し込んでいる。 「お邪魔しました」 眞白は、ぺこりと頭を下げた。 「あー、またおいでね」 そう言って母親は笑う。 海里は店の外まで見送ってくれた。 「じゃあまたなー」 「うん、また」 眞白が帰りかけると、海里は大きく手を振っている。 眞白も楽しくなって、バイバイ、と大きく手を振った。
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