前世の約束

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「なあ、俺、気にになってる子がいるだ。」 「そうか、なら告ればいい。」 「そんな簡単な話じゃねぇよ。相手、電車で良く見かける子で、喋ったことねぇし、なんなら向こうは俺のこと認識してないと思うんだよ。」 「一目惚れってやつ?」 「そう、それ。話しかけたいんだけど、きっかけ無くてさ、急に話しかけたら引かれそうじゃん。」 「まあ、好意を持たれてないと厳しいわな。」 「だから、何かいい案無い?」 「引かれない話しかけ方ってこと?」 「そう」 「そうだな、、、まず、普通に『おはよう』て挨拶する。」 「普通におはよう?!」 「まあ、まず聞け。それで相手は『誰?』てなるだろうから、『ようやく会えたね』って言う。」 「ようやく会えたね!?」 「んで、『来世で必ず迎えに行くって約束、覚えてない?』で決まりだ!」 「え、、、それ、普通にやばい奴じゃない?」 「やばい奴さ、でもどうせ引かれる可能性が高いなら、もういっそ振りきっちまおうぜ。ワンチャン相手のツボに入る可能性だってある。守りの体制じゃなくて、攻め込むのさ。」 「守りじゃなく、攻め、、、」 当時の自分を振り返ると、ひどく適当な事を言っていた自覚がある。 しかし、そんな俺の適当な提案を友人は鵜呑みにして実行に移してしまった。 結果は当然、相手にドン引きされてお終い。 これで淡い片想いもお終い、、、かと思われたが、1番最初にどぎついジャブをかました友人はそれによりすっかり吹っ切れてしまい、そのあと怒涛のアプローチを繰り返し、遂に相手と付き合うとこまで漕ぎつけてしまった。 人生何が起こるか分からないとは、まさにこの事だ。 そして数年後、俺は2人の結婚式を祝福していた。 誓いの言葉の際、友人は「来世まて誓います!」と断言し、俺は一人で静かに吹き出してしまった。
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