悠夏の決断

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悠夏の決断

悠夏と先輩は、卒業後、遠距離恋愛をしていた。GWには、悠夏が先輩のところに遊びに行っていた。夏休みも遊びに行きたいところだったろうが、何せ、私たちは受験生だ。 ある日、悠夏がぽつりと言った。 「私、先輩と同じ大学目指す!先輩のそばに行く!」 唯斗と私はびっくり仰天だ。先輩のいる、S大学と言えば、超難関の大学だったから。悠夏は、成績優秀な方だったが、それでも・・・。 「おばさんたちは、どう言ってるの?」 「S大レベルの大学に行きたいなら、東京に行くのも許す、って」 そうなんだ・・・悠夏が東京の大学に・・・私たちに、止める権利なんてないよね。・・・だって、大好きな悠夏だから、幸せでいてほしい。東京の大学に行って、南条先輩の隣にいることを選ぶのなら・・・私や唯斗と離れ離れになっても彼のそばにいることが望みならば…応援するしかない。 「そっか。がんばってね」 私は努めて明るく言った。恋の力、ってやっぱりすごい。私だって、唯斗とは離れ離れになりたくないし、唯斗がどこかに行くなら、着いて行くだろう。 「がんばれよ。そうと決めたなら、全力でがんばれ!」 唯斗が力強く言った。唯斗は、悠夏と離れ離れになるのが淋しくないのだろうか。 放課後、いつものデートコースのカフェで、唯斗に聞いた。 「ねぇ、唯斗は、悠夏が東京に行くの、賛成?」 「賛成も何も・・・悠夏が決めたことにとやかく言えないだろ?」 「淋しくないの?私は、今から、淋しくって、不安で、たまらない。悠夏がいない毎日なんて・・・」 「そりゃ、淋しいさ。何年、一緒に過ごしたと思ってるんだよ。でも、だからこそ、悠夏の進む道を後押ししてやんなきゃな。大切な幼なじみなんだから」 「そうだね。私たちだからこそ、悠夏の幸せを祈れるんだよね」 それから、悠夏の予備校通いが始まり、彼女の猛勉強が始まった。予備校に通ってるからって学校の授業をないがしろにしないのが、悠夏のすごいところだ。悠夏の成績もぐんぐん上がり、ついに希望のS大学の入学を勝ち取った。私と唯斗は、それぞれ地元の大学に進学が決まった。
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