悠夏との別れ

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悠夏との別れ

そして、卒業式。みんな、涙、涙だった。そんな中で、私はひときわ大泣きだったと思う。 「瑞穂ぉ。そんなに泣かないでよ」 目に涙を浮かべた悠夏が、優しく私に語り掛ける。 「だって、悠夏、4月になったら、東京に行っちゃうじゃない。私たちを置いて!!」 我ながら、強い口調になっちゃったかな、って思う。 「瑞穂・・・私だって、悩んだんだよ。瑞穂と唯斗と別れるのは、本当に胸が引き裂かれる思いなんだよ。だけど、・・・瑞穂はずっと、唯斗と一緒にいられるじゃない。私も、好きな人と一緒にいたい。それが悪いことなの?」 「そうだよね、ごめん。ただ、淋しくて。これからも、メールとかでつながっていられるよね?電話もするよね、手紙も書くよね?」 私は、祈るように悠夏に尋ねた。 悠夏は、ぎゅっと、私を抱きしめて。 「あったりまえじゃない。瑞穂と唯斗はかけがえのない幼なじみなんだよ。連絡は欠かさない。約束!」 「2人で悠香の幸せを祈ってるよ。連絡待ってる」 唯斗が泣き笑いで悠香に言った。 そして、また、いつものように3人で抱き合った。 悠夏が出発の日は、あっという間にやってきた。前日には、盛大なお別れパーティが開かれた。悠夏は、思いっきり、照れまくっていた。 「元気で行って来いよ。夏休みには、2人して帰って来いよ」 唯斗が言った。 「元気でね。・・・これ、3人お揃いのキーホルダー。使ってね」 銀色の盾形のキーホルダーの裏に、”Yuka, Mizuho, and Yuito Forever"と言う刻印がしてあるものだ。 「ありがとう。大切にする。毎日、肌身離さず持って歩くね」 「悠夏・・・大切なあなただから、いっぱい、いっぱい、幸せになってほしい。南条先輩と幸せにね。大学もがんばって」 「ありがとう。瑞穂と唯斗も幸せにね。愚痴なら、いくらでも聴くから、メールしてね。あっ、なんでもなくても、メールして」 「もちろん。私たちは、離れていても大丈夫」 自信を持って、私が言った。そう、私たちの絆は、距離なんかに負けない。
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