溺愛するな、溺愛されろ。

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入学式が終わり、皆がぞろぞろと歩いている。 友達と仲が良さそうに歩いている子達を見ていると、羨ましく感じてしまう。 いい加減わたしも友達作ろう! そう決意したその瞬間、 「ねぇっ」 肩に手を置かれ、話し掛けられたので、振り向くと。 そこに立っていたのは、超が着くほどの美少女。 肩よりちょっと長いゆるふわフェーブの髪にぱっちりしたお目目。 か、可愛い…! 「え、えと、なに…?」 「あ、あのねっ。…ひとり、かな?」 「うん、そうだ、けど…」 「…わ、わたしと、友達になってくれない、かな…?」 …っ! 可愛さにやられ、こくこくっと頷いた。 「良かった…!」 その子はぱあぁっと笑顔になって、わたしの手を握った。 「わたし、鳳凰雛珠!」 「わたしは燕昇司璃愛。雛珠ちゃんって呼んでもいい?」 「うんっ! わたしは璃愛って呼んでもいいかな…? 呼び捨てしたくて…」 照れたように俯く雛珠ちゃん。 抱きしめたい…っ! 「いいよ…! よろしくね、雛珠ちゃん」 晴れて初日に友達が出来たわたし。 雛珠ちゃんと歩きながら話していると、 「…あれ?」 「どうしたの?」 「なんか皆こっちを見てて…」 そうかな? 周りを見渡すと、雛珠ちゃんの言う通り、皆こっちを見て、顔を赤らめている。 「ほんとだ。なんでなんだろう?」 訊ねると、雛珠ちゃんは心底驚いたように目を見開いていて。 …え? 「も、もしかして、璃愛って、天然って言われたことある…?」 天然? 「ないけど…? それがどうしたの?」 はあ…っとため息をついた雛珠ちゃん。 そして 「これは大変そうね…」 と呟いた。 何が大変なのか訊きたかったが、すぐ誤魔化されてしまった。 わたしの頭の中ははてなマークでいっぱいになった。
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