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あるところに、少しだけ高くとべるカエルがいました。
仲間たちより、少しだけ高くとべるのが、彼の自慢でした。
彼と仲間たちが住む村には、池のそばに一本の木があります。
カエルたちにとってその木は大きく、一番下についている葉っぱでさえ、ほとんどのカエルにはとどきません。ただ一匹、少しだけ高くとべるカエルだけが、地面からとんで、その葉にとびのることができるのです。
彼が葉っぱにとびのるたびに、仲間のみんなは、
「すごい、すごい」
と、手をたたいて、はやしたてるのでした。
そのうち、少しだけ高くとべるカエルは、物足りなくなりました。
もっと高いところにある葉っぱにとび乗りたい。
そう思った彼は、木の、下から二番目の葉っぱめざしてとんでみたのです。
でも、とどきません。おしい、というのではなく、全然とどかないのです。
くやしい。
少しだけ高くとべるカエルは、それから毎日、毎日、下から二番目の葉っぱめざして、いどみつづけました。
初めのうち、仲間たちはそんな彼のことを応援してくれました。でも、とんでも、とんでも、まったくとどく様子のないのを見ているうちに、見守る仲間は、一匹減り、二匹減り、やがてだれもいなくなってしまいました。
それでも、少しだけ高くとべるカエルは、下から二番目の葉っぱめがけてとびつづけます。
雨がふり、風がふき、日が照り、雪の季節には冬眠するものの、彼の挑戦はずっと続くのでした。
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