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展望台にて
土曜日22時。僕と玲さんは小高い丘の公園、その展望台にいた。眼下に街の夜景が広がる。
「綺麗だな」
「玲さんには負けますけどね」
つい、むきになってしまう。
「ありがとう」
さらっと返すあたり言われ慣れているんだろう。ちぇ。
玲さんはまたスーツ、僕はパーカーにジーパン。缶コーヒーを手に、2人でベンチに座っている。ほとんど僕が一方的に他愛もない話をするばかり。
それでも玲さんは満足そうだけど、僕は切り出した。
「ねぇ、なんでそんなに秘密主義なんです?」
「……」
「玲さんのこと知りたいから聞いてるんです。答えてくれないとなんだか……」
「不安になる?」
僕は頷く。
しばらく沈黙した後、玲さんは吹っ切れたように顔を上げた。
「なんて言ったらいいか……。城之崎君は、『イメージと違う』って言われたことないかな?」
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