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ガチャチャチャ!と天井に近い場所から無数の銃口が恵をねっとりと見下ろしていた。
あまりの恐怖に恵は尻餅をついて壁から離れる。すると銃口は引いた。渋々伸びてきた段ボールのような小型カメラが苦情に対応する。
『間違イ アリマセン 子作リヲ 開始シテクダサイ』
「いや、いやいやいや相手男!俺も男!出来ないの、赤ちゃんでーきーなーいーの!」
『…人間ID×××××…人間ID×××××照合中…』
ポーーーン
『理想的ナ ペアデス 子作リヲ 開始シテクダサイ』
「はああああ???」
ぶっ壊れてやがるぜ!!!
反抗したい気持ちでいっぱいだがまだ脳裏に無数の銃口が焼き付いている。
やるせない気持ちを抱えた恵は喉の奥からもにょもにょと唸り、頭をかきむしって座り込んでしまう。
「大丈夫?」
心配した拓真が恵の肩に手を置いた。
「あんたはどうしてそんなに冷静なんですか!」
「や、正直ワケわからなくて混乱してるけど僕より君の方が動揺してるから…かな、ここがどこだかええと、恵くんは知ってるの?」
「子作りルームは初見学っすか?」
「子作り…えええ…」
そう、その困惑が正しい反応なんだよ。
今俺たちが置かれてる状況を振り返ろう!
AIに捕らえられた人類はここ、子作りルームで繁殖をさせられている!妊娠が確認されるまで三食食事付きで風呂、トイレも完備。
娯楽は少ないがスプリングの強いベッドもありいつでも清潔にしてもらえて男と二人きりーーーー…
あれ、そんな悪い条件じゃなくね???
むしろ俺たち妊娠しないからもしかして…
「ずっと出られないのか…?」
あまり悲観していない声色。
人肌が恋しくて毎日狂いそうだった恵にとっては好条件でしかなく、ちょっと笑顔になっていた。幸いにも相手も悪人ではなく最初の印象としては良さそうな人だったし。
「なん、か…湿度、上がってない?」
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