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学校でオモチャを使う漫画を見たけどさ、僕にそれをする勇気はない。全然ない。 万が一のことを考えると堕天使コースまっしぐらだし、案外「天使」の仮面は大変なんだよ。二足わらじはムリムリ。 それでも一晩中励んだ次の日はぐったり疲れて、妖艶な雰囲気が周囲の男子学生には刺激が強かった。 「な、なあ真床のケツって小さいよな。」 「なー、でもふっくらしてて可愛い。触らせてよ。」 「ファ!?」 何その狂ったお願い!嫌ですけど!!! うーんうーん、でも「天使」の僕だったらなんて答えるだろう。「やだぁえっち~」うーんピュアじゃない!なんて考えてるうちに男友達が息を荒くして迫ってくる。 「……っ!」 嫌だ、怖い。 この時初めてそう感じた。 生理的な恐怖に声も出ずボロボロ泣き出すと購買から帰ってきただろう新が取り巻きを振り払い、戦車のように机をなぎ払って駆け寄ってくれた。 「まこ、まこどうした。なんで泣いてる。」 「あ"う…っ、ち、違うの、ごめん、ごめんね…」 漠然とした恐怖に襲われただけで説明なんて出来ない。それでも涙は止まらない。体裁を保てないことを恐れる僕のことを知ってか、新はその大きな体で僕を包んで守ってくれた。 「腹、痛いんだろ。保健室行こ。」 「う、うん、行く…。」 ああ、無骨な割になんて気が利くんだろう。 とっておきの言い訳まで用意してくれて心配する友人達を押しのけ、新は僕を教室から救い出してくれた。そして誰もいない体育館横の階段まで連れてってくれたんだ。
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