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授業はなんとなく聞いてるだけで覚える。なんて言うと友人からの印象が悪い。ノートをとるのは苦手だけど頑張ろう。しかしそうでなくてもここの高校の数学の先生はなんか怖いタイプっぽいから真面目に授業を受けた方が良さそう。あーゆー厳格な人ほど特殊な性癖があったり…いかんいかん趣味の妄想は禁止したはずだ!頭を左右にブンブン振る。 すると休み時間の間に近くの女子グループが声をかけてきた。 「アメく~ん、放課後私達とカラオケ行かない~?♡」 「キャッ♡ハルカ大胆~♡」 「いいね!アメ君来たら楽しそう!」 アイドル並みのルックスに程よく整った体格、そのくせ声は幼く甘い蒼雨は新学期早々全女子の注目の的だった。 その上猫被るのも得意だし転校生テンションのうちに友達も何人か出来たのは幸いだ。すかさず他の男友達が後ろから衝突するようにして僕の肩を掴み、でかい声で会話に割り込んだ。 「いいじゃんいいじゃんカラオケ!でもアメ1人とそっち3人じゃバランス悪いから…俺たち2人も一緒にいいよな!?」 「な!?アメくん!」 「ははっ、元気だなぁ。」 「え~~アメくんだけでいいんだけどぉ、特別ね♡」 「キャー♡」 「誘ってくれてありがとう…………スズキサン。」 やっべー隣の席なのに女子の名前覚えてなかった。嬉しそうにしてるし、セーフセーフ。 逆に男友達に抱きつかれていると内に秘めたはずの欲望がムクムクと…ハッ!いかんいかん!ここで勃起したら修羅場(じごく)ぞ! 得意の愛想笑いでなんとか冷静を保つ。 こんな生活が、いつか慣れるのかなぁ。ちょっとこっそりため息ついた。
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