絶望のパーシヴァル

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 ***  この世界が、“神”と呼ばれる新人類によって作られたものであることは、古文書にも記されていることである。神々はこの世界に光と闇を与え、水を与え、火を与え、多くの命の種を撒いた。そして、人間と動物達に、互いを愛し合い尊重しあって生きていくようにと命じたのだという。  この世界の人々は神の教えに則り、極力争いを避け、隣人や動物たちを慈しんで生きるようになった。結果文明は栄え、科学技術は目覚ましい進歩を遂げることになったとされている。争い事が全く起きない世の中ではないが、少なくともここ千年ばかり大きな大戦は起きていない。一つの国で環境汚染の問題が起きれば、多くの国々で力を合わせて解決する。素晴らしい自然を守っていくため、長年人々は力を尽くしてきたはずである。  そう、だからこそ。  何故今、この世界がここまで多くの災害に襲われ、人々が急激に数を減らす事態になっているのか全くわからないのだった。これはもう、神の怒りが下ったとしか思えない。多くの宗教家たちが、政治家たちが嘆いて頭を抱えるのも致し方ないことではあるだろう。 「だがしかし、最大の問題は。何故、神がここまでお怒りになられたか、我々にはまったく心当たりがないということだ」  パーシヴァルの母国、エドワンド合衆国。その大統領は、次元移動理論で名高いパーシヴァルとその助手を呼び出すと、憔悴しきった顔で頭を下げてきたのだった。 「我々人類に問題があるというのなら、どのような手を尽くしてでも解決してみせよう。だから頼む……君達の力を貸してくれ。この世界の外へ行く理論、は既に確立され、神の国の座標も特定できていると聞いている。我々の創造主と会い、怒りを鎮めてくれるよう説得してもらえないだろうか。少なくとも、少なくとも何故神がここまでお怒りになられたのか、それを知らなければ我々も対処の仕様がないのだ……頼む!」 「大統領、頭を上げてください……!」  これだ、とパーシヴァルは直観した。これこそが、自分がこの世に生を受けた意味。自分は世界を救う為、研究を続けてきたのだと確信した瞬間である。  世界の外へ行き、神様に会うための船、もしくは門を作る。それができるのは世界中でただ一人、次元移動理論の権威たる自分だけであるはずだ。 「お任せください。必ず、神に会うための装置を作り上げて御覧にいれます!」
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