脅迫状

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脅迫状

バフッ 俺がドアを開けようとした時、気圧差による音がした。どこかの部屋が開いたのだろう。 ガチャ……バタン 俺はドアを開け廊下へ出た。下では監視担当の背の低い男と色黒の男以外に、隣の部屋の茶髪の男が話をしていた。 茶髪の男が出て来ていたのか。話の内容は聞き取れないけどタメ口のようだ。この3人、初対面にしては仲が良すぎる。知り合いか? 3人共じゃないにしても、2人は知り合いのような気がする。 俺は階段を降り、3人の前を通る時に会釈をして、ロマンスグレーの髪の男の部屋の前に来た。部屋の前にはショーケースがあり、知らない人でも高いと分かるような食器類が並べられている。全て高級なんだろうけど、純金製であろう皿とフォークとナイフも置いてあった。 ナイフ1つぐらい取ってもバレなさそうだな。幾らぐらいするんだろう? もし純金製なら100万円ぐらいするんだろうか? ショーケースを横目にロマンスグレーの髪の男の部屋のドアをノックしようとした、その時。 ガチャ 2階のどこかの部屋が開いた。 バタン 黒髪パーマの男の部屋かなと思い、俺はそっちの方が気になったけど、誰かに見られていて変に思われても嫌なので、そのままドアをノックした。 コンコン 「はい、お待ち下さい」 ガチャ 少し待つとロマンスグレーの髪の男が出てきた。 「どうかしましたか?」 「ちょっと脅迫状ってのが気になりまして……。見せて頂けないですか?」 「う~ん……。まあ、良いでしょう。写真とかは撮らないでくださいね」 「分かりました」 そう言うと、ロマンスグレーの髪の男は部屋の奥に入っていく。 30秒程経つと、戻ってきて脅迫状を見せてくれた。 「これです」 脅迫状はドラマなどでよく見る、文字の切り抜きを貼り付けて文章を作った物だった。 「……という事なんです」 俺が全ての文章を読む前に、ロマンスグレーの髪の男は脅迫状をしまった。全てを読む事は出来なかったけど、確かに殺すという文字が見えた。 「なるほど……。犯人に心当たりは無いですか?」 「まあ、仕事関係で恨まれる事もありますが、もう既に弟は引退していますからね」 「弟? 今、弟って言いました?」 「ええ、王は私の弟です」 「……そうなんですね……」 「弟ですが元上司です。まあ、元と言うか、今もこうやって執事をしていますけどね。まあ、人間は金を持ってる人が偉いって事ですよ」 「なるほど……複雑ですね……。あれ? じゃあ、どうして王って呼んでるんですか?」 「ああ、人前では王と呼ぶようにと言われています」 「なるほど」 「では護衛宜しくお願いします。あなたは確か……9時からでしたね?」 「そうです。では失礼します」 バタン 俺はドアを閉めた。 そうか……似ているから親戚かと思っていたんだけど、王のお兄さんだったのか。弟の執事をするって中々プライドを傷付けられるな。だけど、もちろんそれに見合う報酬を受け取っているんだろうけどね。
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