お馬鹿相対性理論

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お馬鹿相対性理論

俺は自分のパイプ椅子に座って、ペットボトルのお茶を1口飲んだ。西京大学の大学生達も最初は4人で話していたけど、流石に飽きたのか誰も出て来ない。黒髪パーマは何もしない時間が苦にならないのか、王の部屋のドアをじっと見ている。頭が良いので、1点を見ながら何か考えているのかも知れない。頭の中で円周率でも並べているのだろうか? ◆頭の良い人には暇という感覚が無いという。ボーッとしていても何か思い付いてしまうのだ。 コペルニクスは地球が動いているというあり得ない事実を発見する。 ニュートンは重力という見えない物を発見する。 アインシュタインは、時間は場所によって変わるという訳の分からない事を発見する。 地動説や万有引力は、今となっては何となく理解できるが、相対性理論については、今でも理解するのは難しい。どうせ自分には関係ないし……と思うかも知れないが、そんな事は無い。既に GPS に応用されている。GPS はカーナビやスマホにもついているので凄く身近な存在だ。知らないでは済まされない。GPS 衛星では時間が速く進む為、時計の時間が少し遅く進むように設計されている。 相対性理論をあまり知らない人でも、映画やテレビ等のメディアから情報が入るので、何となく、速い乗り物に乗っていれば時間が遅く進むというイメージがあるのじゃないだろうか? まさにその通りで、これは特殊相対性理論と呼ばれるものだ。 年齢の割りに若く見える女性に対して、「あの人いつまでも若いわね~。ずっと新幹線に乗っているのかしら?」というようなギャグは、話し相手が賢ければ成立する。ウケるかどうかは別問題だが……。 じゃあ、GPS 衛星は動くスピードが速いので時間は遅く進むのじゃないか? と思った人は賢い。そう、GPS 衛星は特殊相対性理論により時間が遅く進む。だが、地球から離れている為、重力の影響が小さくなり時間が速く進む。これを一般相対性理論という。ブラックホールなどが分かりやすい例だ。重力の影響が大きすぎて時間が極めて遅く進み、光が出て来られない。GPS 衛星は、特殊相対性理論よりも一般相対性理論の影響の方が大きく、時間が速く進むという事になる。 永遠も相対性理論の存在は知っている。もちろん理解は出来ていないが……。◆ 俺は黒髪パーマの男を見て思った。賢い人の頭の中の時間は進むのが速く感じるのかも知れないな。ん? じゃあ、お馬鹿の頭の中の時間は逆に、進むのが遅くなると言う事か……。22世紀には『お馬鹿相対性理論』が発表されているかも知れない。待てよ……と言う事は、お馬鹿は賢い人よりも長生きしているように感じるって事だ! お馬鹿はお馬鹿なりに得してるかも知れないな。 ◆暇な時間が増えてしまったら、むしろ損な気がするのだが……。永遠は交代までの暇な時間を、ちょっぴり得をした気分で過ごせた。◆
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