メッセージアプリは波乱の予感

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「大丈夫って?」 「さっきのアプリの件といい、課長の方は、小西さんと個人的に仲良くなる気満々にしか思えないんですけど……小西さんの方はどうなのかな?って」 「個人的に仲良くも何も、課長は会社の上司だしそんな事考えられないっていうか……。それに、もしかしたら他意はないのかもしれないじゃない?」  田島さんの考え過ぎだ。そうであってほしい。身体に纏わり付いた見えない何かを振り払う様に、口角をキュッと上げてみせる。   「そうかもしれませんけど……。でも、他意がありまくりかもしれないですよ?」 「だとしても、気がつかない振りをしていればいいんだから、大丈夫よ」  だからこの話はおしまい。  私は自分にも言い聞かせるように、納得いかない様子の田島さんの肩を叩く。 「けど相手は百戦錬磨だって噂の課長ですから。その気が無くても流されて、絆されて――最後に泣かされちゃうかもしれないですからね?小西さんが課長とどうこうなる気がないなら、ほんと十分に注意してくださいよ!」    大袈裟だな、と笑い飛ばすには田島さんの表情が固すぎる。どうやら彼女の中で、課長はとんだ悪い男として認定されているらしい。 「――小西さん、万が一何かあったら絶対相談して下さいね。私、絶対守りますから」  戸惑う私の両手をぐっと握ると、田島さんは決意に満ちた瞳を向けるのだった。
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