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「まあ、その話はまた別の機会にして……。そろそろ急ごうか」
消化しきれないモヤモヤを笑顔の中に押し込むと、駅舎の外へと歩きだす。
朝の澄んだ空気はすっかり消えて、空気が熱を帯び始めている。まだまだ夏を感じさせる日差しは人の体力も思考も全て奪ってしまうのか、はじめこそおしゃべりをしていた田島さんも黙々と足を進めている。
たった数分間の移動ながらも灼熱地獄はやっぱり辛い。建物内に入って冷気を浴びて、ようやく頭が回転し始めた。
すっかり予定が乱れちゃったけど、今日は朝イチ何を対応する筈だったっけ?
上昇するエレベーターに乗っていると徐々に意識も仕事モードへと切り変わっていく。
作業遅れを早目に取り戻して、午後は予定通りに進むといいな。
「よし!今日も頑張ろうか」
決意も新たにエレベーターから勢いよく降りて歩き出すも、通路の曲がり角で反対側から来た誰かと激しく接触してしまった。
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