メッセージアプリは波乱の予感

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「さっきの質問ですけど、小西さんならどう思うんですか?」 ホワイトボードの「直行直帰」の文字を消しながら田中君は、そう言えば、と呟いた。 「え?」 「同僚に好意を持たれたらどう思うか、ってやつ」 「それは……」 脳裏に田中君と戸田課長の顔が交互に浮かぶ。 「よく、わからなくて。けど、好きになった側からしたら、相手からその気持ちを迷惑がられるのは少し悲しいかなっては思うかな」 本当は少しどころではなくて、想像して泣いてしまうくらい悲しくなってしまったのだけど。 「でも、同僚だと思ってた人から急にそんなことを言われたら、戸惑う気持ちもあるのもわかる気もするし」 想う側と想われる側。 どちらの気持ちもわかるから、余計に苦しくて悲しくてどうしていいのかわからない。 暗い窓ガラスに薄く反射した田中君の白いシャツを視界の端に捉えながら、頬杖をついてまとまらない思いを口にする。 「俺は」 力がこもった言葉がオフィスに響く。 「え?」 思わず振り返ると、真剣な表情をした田中君がこちらをじっと見つめている。 「俺は……自分に好意を向けてくれたなら、相手が誰であれ、その気持ちは嬉しく思いますよ」 迷いのない瞳と固く引き締められた口元から紡ぎ出されるその言葉は、きっと心からの思いなのだろう。 「その相手と付き合うとか付き合わないとかはまた別問題として……。俺は、好きになってくれたっていう、相手のその気持ちは受け入れますよ。俺のこと、好きになってくれてありがとうって」 「……優しいんだね」 「優しいっていうか……。そう思ってないと、同じ立場になった時に自分も報われないじゃないですか」 「同じ立場、って?」 ……それってどういう意味なのだろう。 胸がざわりと騒ぎ出す。
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