しゅわしゅわ 絵日記

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 夕方、樹兄ちゃんと一緒にカレーを食べていると、フミさんがニコニコしながら台所にやってきた。 「まこと君、いいもの見つけたんだけど」 「えっ? なあに?」  ぼくが目をパチクリさせると、後ろ手にしていたモノを広げた。 「うっわ! 懐かしいなぁ。よく見つけたね」  樹兄ちゃんが目を細めた。えー……、白地に紺で雲と雷様の模様の……浴衣? 「俺が小さい時に着てたヤツだ」 「へぇ……。甚平なら着たことあるけど、浴衣は着たことないよ」 「カレーを食べ終わったら、ちょっと羽織ってみて。肩上げとお端折りを見るから」  なんだかよくわからないけど、フミさんがそれを着られるようにしてくれるらしい。 「樹さんのは、誠一郎さんの浴衣の裾を出してみたんですけど……後で丈を見てください」 「えっ? 俺のも在るの?」 「はい」   ビックリしている樹兄ちゃんに、当然でしょ? って顔をするフミさんが面白かった。 「ねぇ、フミさんのは?」 「勿論、ありますよー」   笑顔で答えるフミさん。  みんな、浴衣着て花火大会なんだ! なんだかワクワクしてきたぞ!
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