6人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ! まこと!」
やっぱり、さとるだった。ぼくはさとるの傍まで駆けて行った。隣にいるさとるの母ちゃんに、ぺこりと頭を下げて挨拶をした。さとるの母ちゃんは、笑顔でぼくに挨拶を返した後、後ろにいる樹兄ちゃんとフミさんを不思議そうに見た。
「えっと、近所に住んでる樹兄ちゃんと、フミさん。母ちゃんが遅くなりそうだから『ほごしゃ』の代わりに付いてきてくれたんだ」
「へぇえ……」
さとるも、不思議そうな顔をしている。樹兄ちゃんとフミさんがお辞儀をすると、さとるの母ちゃんも慌ててお辞儀を返した。
「さとる君、まこと君と一緒によく虫取りに行くんだって? 俺が小学生のころも、神社の裏山にミヤマクワガタを捕りに行ったよ。まだ、オオムラサキもいるのかな?」
樹兄ちゃんがさとるに話しかけた。さとるの表情がパァッとなった。
「兄ちゃん、ミヤマ捕ったことあるの?」
「うん。今じゃ、珍しくなっちゃったんだってな。暑すぎるからかなぁ」
樹兄ちゃんも、小学生の時は裏山で虫取りしてたんだって。さとるも樹兄ちゃんと話が合うと思ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!