しゅわしゅわ 絵日記

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「さとるが蝋燭取りに行ったよ」 「あ、これ、まこと君の分の花火」  俺は社務所で受け取った花火の束をまこと君に渡した。 「今晩は。まことを連れてきて下さってありがとうございました」   戻ってきたまこと君に気が付いた田辺さんが、こちらに挨拶した。隣にいたさとる君のお母さんも、今度は柔らかい表情でこちらを見て頭を下げた。 「まことー! 火をもらってきたぞ! バケツのそばで花火しろってさ」 「よし、じゃ、一緒にやろうぜ」  人が近付きすぎないように、水の入ったバケツを境内のあちこちに香取さんと鹿島さんが置いて回っている。境内の真ん中に広くスペースを開けて、狐塚さんが大型の花火を準備し始めた。 「すげぇ! 仕掛け花火もするんだな」 「さっき見たら、パラシュート出る奴もあったぜ」  まこと君とさとる君は興奮気味に狐塚さんの様子を見ていた。  ふと周りを見回すと子どもは20人くらい。30人はいないなぁ……。それに親が1人2人付いている。さとる君から聞いたところによると、普段の学童は10人くらいなんだそうだ。
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