6人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっ? な、なんですか? これ……」
二人の様子を見たフミさんは、困った顔をしたまま俺にラムネ瓶を差し出した。
「もー、お前ら振り回すから……。乾杯前に口付けちゃったじゃないか」
俺が呆れて言うと、ホントだ半分減っちゃった、とゲラゲラ笑うまこと君たち。俺は、受け取ったラムネ瓶をスポンと開けると、フミさんに返した。
幽かに広がる甘い香りとしゅわしゅわという炭酸の響き。
恐る恐る受け取ったフミさんに、乾杯しようぜ! と、まこと君とさとる君が無邪気にラムネ瓶を突き出した。
「おら、ボンも飲め」
鹿島さんが脇からラムネ瓶を突き出してくる。俺もラムネを開けて、4人で瓶をコチンと合わせた。
美味しそうにラムネを飲むまこと君とさとる君を見て、フミさんはそっとラムネに口を付けた。
俺は、固唾をのんで見守った。
一口含み、呑み下す。
次の瞬間フミさんの見開いた目が、キラッと光った。
一旦、俺と目を合わせ、諏訪さんを見る。
諏訪さんは、にこにこと微笑んで深く頷いた。
え? フミさんが、文字以外のモノを口に出来た……?
フミさんは、ラムネの瓶を改めて眺めた。
「しゅわしゅわで……甘い……」
心底驚いた顔をして、ラムネの瓶を見つめる。
「……美味しい」
何が起こったのかわからないけど、フミさんはラムネを飲めた。
諏訪さんが、フミさんに何か魔法をかけたのか?
諏訪さんて、一体何者?
最初のコメントを投稿しよう!